昔、鉄人と呼ばれたピアニストがいました。
旧ソ連の出身で、早くからその才能を開花させ、17歳でソ連邦のピアノコンクールに優勝。その鋼鉄のタッチと完ぺきなテクニックで奏される音楽は、比類なく格調が高くゆるぎないものとして愛好家にもてはやされていました。
特に、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団とともに収録したベートーヴェンのピアノ協奏曲集は、高い評価を受けてきました。
ただ、そのレコードは、音質があまり良くなかったので、愛蔵盤にはなりえなかったのですが、今回、タワーレコードが高音質リマスター化し、SACDを含むハイブリッドCDとして発売しました。
今回、それをMB(ミュージックバード)のエアーチェックで聴いたのですが、演奏は勿論、その音質の良さにも感嘆しました。これで、安心して鉄人の音楽を楽しめます。
蛇足:実は、彼の鉄壁な演奏を「生」で聴いたことがあります。それは、現役時代、任地のイラン・テヘランでのことでした。当時(1970年代)のイランは、まだ西側諸国との交流があり、西洋文化も取り入れていたので、こうしたコンサートもたまに開かれていたのです。