せむかたも なき悲しみや やるせなき
娘の父逝きぬ 白雪の梅
梅士 Baishi
「父が死にました」
女学生が呆然として言った。
畜産業に行き詰まってのことだろう。
「娘をよろしく」と言っていた父親だったのに・・・。
身内の自殺ほど苦しいことはない。
こうした苦しみを味わっている家族が毎年3万件を超え
ているのである。
その苦しみを背負った家族の人々のために、励ましの
言葉を思う。
家族であるならば、自殺した家族の苦しみを思わない
ではいられないであろう。
なぜ救えなかったのかという自責の思いに苦しめられ
ることであろう。
しかし、それを悩み苦しみとしたところで、救いは得
られない。
苦しむことが責任でもありえない。
しからば、考えても仕方のないこと、すっぱり思考停
止することだ。
考える代わりに唱えるがよい。
『その父を裁かず、己を裁かず、人を裁かず。』
他人に対しても、自分に対しても、裁き心を断ち切る
ことが肝腎の要だ。
それぞれが己の人生に責任を持って生きて行くしかな
いのである。
自殺者は、悩みを整理できないで誤った選択をしてし
まったのである。
人は、自殺しても霊として生き続けている。
あの世はあるのである。
しかし、自殺者の世界は暗く憂鬱な地獄である。
その過ちに気づいて、反省しなければならない。
己の心の闇が呼び込んだ悪霊との関わりを断ち切らな
ければならない。
そうでなければ、さらに、家族を苦しめることになる
からだ。
自殺した者の家族の苦しみを思えば、どうせいつかは
死ぬる命、自ら絶ってはいけなかったのだ。
その命の使い道は、捨てたつもりで、他人のために使
って果てたらどんなに喜ばれたことか。
だから、自殺を思っている人は、命を絶つかわりにま
ず、その髪を断ち切って葬って欲しい。
残された家族の人たちよ、それは家族の責任ではない。
悔やんではいけない。
裁いてはいけない。
人には及ばないことがあるのである。
人の心は、家族といえども、父・母といえども、自由
にはならないものである。
自殺した者は、家族への思いから憑依して禍を連鎖す
ることがある。
そうしたことにならないように、残された家族は明る
く生きることが肝要である。
責任を放棄せず、楽しく働く姿を見せてやることであ
る。
心の世界を、霊の世界を、やはり学ぶ必要があるのだ。
幸福の生産者を増やし、不幸の連鎖を断ち切るために。
梅士 Baishi.