2010年9月、ウクライナのキエフに旅行中、街中の一番観光客が行き交うあたりで、ガイドブックにもあった「財布拾い」に出くわした。名前は聞いていたが、肝心の説明が書かれている地球の歩き方を持っておらず、事前にどんなものか頭に入っていなかった。
街を歩いていると目の前で財布を拾ったという人が近寄ってきて、山分けしないかと相談を持
ちかけてきた。そこに落とし主が現われ、落としたお金をくすねていないか財布の中を見せろと言ってくる。拾った人は財布の中を見せて拾っていないふりをしていたが、こちらにもくすねていないか落とし主が見せろとせまるので、その場の雰囲気で仕方なくみせる羽目となる。このあたりで怪しい殺気を感じたので、ちらっとだけ見せて、くすねていないと主張し、二人を無視してその場を歩き去って、事なきを得た。二人はまさにグルであったと思われる。
拾ったというお金は透明のビニール袋にユーロの紙幣がいっぱい入っていたが、初めは、その人が本当に拾ったのかと思い、恥ずかしながら、警察に届けたらどうかなどとアドバイスしてしまった。常に警戒心を持っているので、何となく怪しい状況を感じ、足早にその場を去ったのは大正解であった。
後で、インタ−ネットで調べたら、キエフでは頻発している犯罪とのことであった。実際にその場に出くわしてみると、財布拾いが芝居かどうかわからないほど彼らの演技力は抜群であった。ガイドブックでしっかり情報を頭に入れておくべきだったと反省しているが、被害は全くなかったのが不幸中の幸いであった。
写真は、犯罪にあったキエフの中心街