透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

『ペコロスの母に会いに行く』

2017-03-02 20:15:40 | 

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『ペコロスの母に会いに行く』

岡野雄一著

西日本新聞社 201277日初版第一刷発行

20121224日 第九刷発行

             🍁    🍁     🍁

読み始めてすぐに、可笑しさと切なさがまじりあい、手離せなくなってしまいました。

今は第三者としてこの本を読んでいるのですが、認知症がいつこの身に訪れるか分からないので、他人事ではないことも頭の隅から離れません。

そういう思いも手伝ってか、ページを繰る手を休めることなく読み終えました。

 

絵も温かで、文も相手を包み込む包容力に満ちていて、読み進めていくほどに癒されるという不思議な感覚を味わいました。日常のきれい事だけを掬っているわけではないのにです。

その辺りが腕の見せ所なのでしょう。深刻な状況を「かろみ」でバランスを取っていることが、本作品の妙味なのかもしれません。

詩人の伊藤比呂美氏が言っているように、作者の母・みつえさん(89歳)はチャーミングに描かれています。読み手の私が救われた大きな要因はこの点にあったのかと思いました。

「ペコロス」とは小たまねぎのことだとか。題名も魅力的だと感じました。

コメント (2)
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