GABACHOP〜あがんにゃな日々〜

趣味について、日記がてら。

縫製人間ヌイグルマー

2012年01月09日 | 小説
大槻ケンヂの小説『縫製人間ヌイグルマー』(角川文庫)を買ってきました。

同氏のエッセイは良く読むのだけど、小説は『くるぐる使い』以来。

のほほんとしたエッセイならともかく、真面目な調子の小説の場合、オーケンの顔がちらついて感情移入し辛いんですよ…。

とはいえ、特撮(=オーケンのバンド)の同コンセプト曲『ヌイグルマー』の秀逸さも手伝い、思わず購入してしまいました。

家に帰って、冒頭だけ読もうとパラパラ。

すると、なんだ、これ。

あまりの面白さに、そのまま完読!

ホラー&スプラッタテイストの中に、ひねた文体と、ヌイグルミの醸し出す可愛さと哀愁が最高のエスプリとなり、真似のできない世界観が現出。

ところどころに配置された心地好い頓知が絶妙で、と言って難解さは全くなく、非常にサクサク(オーケン風)読み進めることができます。

こりゃたまらんっ。

「不必要にヒラヒラのついた服」「赤ちゃん人間」「綿いっぱいの愛を」など、オーケンファンならトキメキ間違いなしのキーワードも豊富に散りばめられていて、思わずニヤニヤ。

『ドーベルマン刑事』のマグナムを装着した片腕ロリータに対し、ヌイグルミのブースケが風車の理論を駆使して対峙するシーンなど、読み手の想像力を絶頂の域までまで導く名場面も続出。

“人類の危機を救うべく、ぬいぐるの超人が高円寺~中野間を愛と血と綿と炎で多いつくす”

活字嫌いにもオススメできる一冊!