GABACHOP〜あがんにゃな日々〜

趣味について、日記がてら。

ヒューゴの不思議な発明

2012年03月04日 | 映画
映画『ヒューゴの不思議な発明』を見てきました。

予告編を見た時に、これは俺の好きな作品だっ、と直感して以来、ずっと封切りの日を待ちわびていました。

そして、その予感は、見事に裏切られました。

俺の想像の遥か上を、軽く飛び越える面白さ!

CGを多用した世界観は、元来あまり好きでないのですが、この作品においては、一昔前を表現にするのにジャストフイットしており、近くもあり遠くもある曖昧な時代が、独特の色彩と、夢の中のようなぼんやり加減によって、あざやかに描かれています。

そして、その世界観に、驚くほどハマった3D。『アバター』『グリーンホーネット』『バイオハザードIV』など、いくつか3D作品を見てきましたが、その結果俺が行き着いていたのは、目が疲れて、画面が暗く見えて、字幕も見辛いし、しかも、飛び出すと言うよりは奥行きが増えるだけの半端さ加減、なので今度からは2Dで見よう!だったのですが、それが180度ひっくり返されました。

これまでの、3Dであることを売りの前面に推して来た作品達と違い、この作品は、あくまで肝となる世界観の表現のためだけにそれを使用し、しかしそれが抜群に効果的で、正直感動しました。もし選べるなら絶対3Dで見た方が良いです!

付け加えると、2Dだと、世界観のためにあえて粗くなっているであろうCGが目につくんじゃないかなあ…。

ストーリーや演出も絶妙で、これ以上振り切るとアニメみたいにクドくなりそうなところスレスレで踏みとどまっており、しっかりファンタジーを表現しつつも、荒唐無稽すぎず、主人公の少年への感情移入に対して、一点のくもりも沸きませんでした。

少年の薄幸な生い立ちと、“機械じかけ”“奇術”“映画”“隠れ家”など、少年心にイチイチ響くであろうキーワドの高揚感とが、とても良い感じに対比していて、いつまでも少年気取りのダメな大人(もちろん俺)の胸に迫るのなんの。

ところどころに、映画創成期のレトロなフィルムが映されたり、その撮影シーンの回想が入り、当時初めて“動く絵”を体感した人々の感動を思い起こさせられるのですが、この作品の独特の世界観が、その感動の共有に一役買っており、改めて映画というジャンルについて考えさせられ、ふと気づけば、今までボヤけていた“俺が映画に求めているもの”が、きれいさっぱり炙り出されていました。そうだよな、映画って、だから面白いんだよな、って。

独特の世界観、映像美以外は、度肝を抜かれる要素は少ないのですが、ストーリー、演出、演技、行間などが、少しずつさりげなくひねられていて、その積み重ねと、目に見えにくいところに込められた、製作者達の作品と映画に対する拘りと愛が、この素晴らしい映画を作ったのじゃないかなあ、と思いました。

ひとつ不安要素があるとしたら、この褒めすぎレビューが災いして、皆様が過度の期待を持ちすぎる事でしょうか。

あと、要所要所で漏らさず感動するためには、極力雑誌などで予備知識を仕入れず、ニュートラルな心持ちで見ていただくのが肝要かと。

90点。俺が映画で泣いたのは『アンヴィル』『レスラー』『ゾンビランド』以来。ぜひ劇場の大画面でご覧ください。