もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

イラク派遣部隊の日報問題に思う

2018年04月06日 | 自衛隊

 イラク派遣の陸上自衛隊の行動日報が存在していたことが明らかとなり、陸上幕僚長はおろか防衛大臣の更迭すら避けられない事態となっている。

 およそ自国に駐留する外国軍隊に対して妨害行動や敵対行動があるのは当然で、平和な日本においてすら駐留米軍に対する硬軟の反対活動がある。まして戦争終結時の混乱状態が続く国での銃器が溢れている状況では、武器を使用した敵対行動があるのは常識的なことである。イラク派遣部隊に対する敵対行動も当然あったであろうし、日本軍(派遣部隊)は憲法で他国への武力攻撃を禁じられている、又は派遣部隊の行動は民生活動に限定しているという理論も、日本国内でのみ通用するもので世界的に、特に相手国の反対勢力は決して理解できないし知りもしないだろう。武器による反対行動を戦闘行動と解釈して部隊を撤収させるか否かを決定するのは政治の判断であり、日本の国威の明暗を決する高度な政治判断の根拠とすべき活動日報(作戦報告)が見つからない、又は保存されていないということは軍の幕僚組織では絶対に起こり得ないし、絶対にあってはならないからである文書を破棄した又は見つからないとした時期に、内閣が日報の破棄・紛失の責任を追及して陸幕長や防衛省の関係局長を解任・更迭していれば、日報問題を早期に終息できるとともに再発防止が図られたものと思う。帝国軍隊でも陸軍の政治好きは有名で、陸軍大臣の人事を盾に数多の内閣を瓦解させたり、統帥権を悪用して事変を拡大させた過去を持つ。イラクにおいても敵対勢力からの武力攻撃と取られかねない行動を隠して駐留を続け、なしくづしに戦闘に突入せざるを得ない事態を作り出そうとの意図をもって陸幕・内局が日報を隠したとすれば、盧溝橋事件と類似の行動である。

 戦闘を禁じて外国に軍隊を派遣することは愚策の骨頂であり是正しなければならない問題であるが、姑息な手段で行われるべきでなく正論をもって解決すべきことと思う。そのためには政治家が軍事を理解することが大事で、指揮所演習や図上演習に与野党の議員を参加させることも有効ではないだろうか。