もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

剣道段位授与に学ぶ

2018年08月18日 | 社会・政治問題

 剣道連盟傘下の居合道部門で、高段位の授与に金品の授受が介在することが話題になっている。

 柔剣道の高段者は、実力によるものでは無く、名誉職・論功行賞・家元制度のようなものと思っていたので、審査に関して金品の授受があっても然程驚かなかったが、なぜその授受が違法であるのかと考えてみた。先に不祥事が発覚した日本ボクシング連盟を含めて、多くの連盟・協会は財団法人や社団法人化されており、財団・社団法人とは、事業内容が極めて公益性の高いもので、かつ国の厳重な審査を経た極めて信頼できる団体と思っていた。しかしながら、財団法人や社団法人は、300万円程度(自分には十分高額であるが)の資金と十数名分の名簿があれば誰でもが設立できるものであることが判った。ちなみに、師範等の免状を得るためには高額な上納金が常識である華道や茶道についても各家元の多くが社団法人を名乗っている。剣道連盟の例に戻ると、本来実力に依らない高段位の選考における金品の授受がなぜ問題なのかは誰も教えてくれないが、連盟が日本オリンピック委員会や日本スポーツ協会に所属しているために、幾ばくかの公金が渡っているのが原因なのかな?と推測する。幕藩体制末期にあっては名誉の売買は公然と行われ、御用金の多寡によって苗字帯刀の栄誉を得たり、勝海舟の父のように御家人株を買いさらに貧乏旗本の養子となって直参の位まで手に入れた例もある。しかしながら、公正な競争が原則である近代社会において、名誉や地位を購うことは厳に戒められるべきであろうし腐敗の温床となることは明らかであるとともに、国の中央までがその風潮に染まった時には国を危うくすることすら考えられる。現在進行中の文科省の不祥事にも何やら同種の臭いを感じるところであるが。

 科挙の合否や官職を売買することで亡国の道を歩んだ中国歴代王朝を反面教師として、一部の特権階級を使嗾して国家を債務漬けにした挙句に自家薬籠中のものにする、習近平体制の一路一帯戦略の根幹は腐敗の輸出である。上を目指す者、上に立つ者は金銭に負けない矜持を持って欲しいと願うものである。