日本共産党志位委員長の天皇陛下の戦争責任発言が炎上している。
迂遠な表現ながら天皇制(立憲君主制)の廃止を綱領に謳う共産党のトップとして当然のツイートであろうが、論拠が歴史的事実の誤認にあると多くの識者が疑問を呈している。この際にと思い日本共産党綱領(2004年改訂)を再読したが、とても2018年の国際情勢下においては通用するものではないと再認識した。2004年当時はソ連型社会主義が破綻し国際的枠組みの再編が加速する中にあって、社会主義の模範生として中国が急成長する時期であったと思う。綱領は、生産手段の公有化、農業を国の基本に置く、社会主義体制を維持しつつ自由主義経済体制に参加、とりわけアメリカ依存構造からの脱却を随所にちりばめたもので、”農村が都市を包囲する”とした毛沢東の戦略と鄧小平の改革開放路線を融合させたものに、現下の教育、人権、エネルギー問題を付け加えた中国礼賛論に過ぎないと感じた。中国型社会主義が、農村の疲弊と都市への人口集中、国営企業の放漫経営・汚職の温床化・環境破壊、人民元国家管理の危機等々の事態を招き、情報管理と軍及び国家警察による強圧なくしては国民が統御できない事態に追い込まれている現状を見る限り、共産党綱領に基づく国家に明るい未来は見えないと感じた。モリ・カケを含む問題が起こるたびに、共産党は綱領の都合の良い部分を示してソフトかつ清廉さをアピールするが、根底のおぞましい部分は隠している。綱領のキモである生産手段の公有化一つを取ってみても、公有化の範囲や公有化の手段(接収・買収?)については言及しないし、生産手段の公有化によって当然生じる富の不均衡と管理者の特権階級化には頬かむりしている。さらには、日米安保はおろか如何なる国とも軍事同盟を結ばずに、自衛隊(軍備)さえも廃止し永世中立国家を樹立するとも書いているが、同様な国家を樹立した小国コスタリカのように諸外国が日本の中立を支持するとは思えないのだが。
志位委員長のツイートと軌を一にするかのように、小池晃書記局長の在日大韓民国民団の光複節記念式典参加も論を呼んでいる。共産党は、同日に行われる全国戦没者慰霊式典に例年欠席しているのみならず異国の戦勝記念式典に列席するとは、「日本から出ていけ‼」の書き込に同調したい気分である。