日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の失効まで12時間を切った。
韓国が日韓関係改善の仲介と期待したアメリカからは、大統領・国務長官・軍関係者がごぞって協定の維持を求めているにも拘らず、文大統領は翻意しない。ついにアメリカ上院が韓国に対して、協定破棄を再考するよう決議案を採択した。決議案では「協定破棄や貿易摩擦は「地域に亀裂を生み煽動勢力を勢いづかせるだけ」との趣旨で超党派で決議されたものである。破棄を歓迎するであろう勢力のうち、中国は表立って態度を表明していないが、文大統領が南北関係改善のメッセージとして最も期待しているであろう北朝鮮からは、協定の破棄は評価するもの貿易摩擦が解消されれば協定の維持若しくは再締結に応じるとした韓国の姿勢を「弱腰」「日和見」としている。およそ軍事に関する協定を破棄することは、国際的には以後の国交断絶~戦争に連なる必然の行為とみなされており、歴史的に見ても多くの戦争や紛争がこの手順を踏んでいる。それゆえに各国は、軍事問題を通商問題解決の対価としないという暗黙のルールに従っている。今回、韓国が行った日韓軍事協定の破棄は国際的な慣例と暗黙のルールを破ったものであり、文大統領は誤判断・国民感情に忖度するあまりに付和雷同的に大統領に追随する韓国政界は無能力と断じるものである。EU離脱問題で隘路に立たされた英国政界が、離脱交渉にNATO問題を絡めない良識・常識を韓国も学ぶべきであると思う。
しかしながら日韓GSOMIAの破棄には、好ましいものも含んでいる。1は「韓国人旅行者の減少」である。総務省の発表によれば、先月(10月)の韓国人の入国者は昨年同月比65%減とされている。おかげで電車内や観光地で傍若無人な韓国人と騒々しい韓国語に眉を顰めることが極めて少なくなったと思う。2は、日米安保条約が日米どちらかの破棄通告にとって1年で失効することが多くの国民に周知されたことである。共産党を除いて与野党の政策は、日米安保の継続的な存在を前提として、同体制は未来永劫盤石として立案・執行されている。日韓GSOMIAの経緯を見て、日米安保も同様の危険性を有していることを世に知らしめたことは大きいのではないだろうか。
韓国の文大統領の任期も残り半分となった。日本・米国・北朝鮮からの信頼を失い四面楚歌の状態の陥ったものの、いまだ40%を超える支持率を維持しているが、数年後「空白の5年間」と修飾されないことを祈るものである。しかしながら「空白の3年間」で生き残った枝野氏をはじめとする面々が、恬として政治活動に励んでいるのも事実であるが。