もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

香港、ウイグル、台湾、日本

2019年11月29日 | 中国

 中国のウイグル族統治の実態が徐々に明らかとなり、改めて国際世論から批判されている。

 批判の声が大きくなる引き金となったのは、香港の「逃亡犯条例」反対運動が「民主化要求(一国二制度の堅持)」に発展したことが大きいと思う。中国は、香港返還後50年間(2047年まで)は社会主義政策を採らずに香港政府が統治するとしていたが、返還後20年にして徐々に中国本土並みの形態となりつつある。報道によれば、香港の民主化デモでは「香港のウイグル化反対」のプラカードが目立つようになったとされている。これには、ウイグル統治やウイグル族対処(改造)に対する中国政府の内部文書が流布されたことが大きいようである。習のカーテンに覆われた政府(共産党)の内部文書がリークされること自体あり得ないことと考えられてきたが、アメリカに隠し資産を持つ中国政府高官が資産凍結を逃れるための交換条件としてアメリカに提供したといわれている。中国政府は当該文書は捏造と主張しているが、文書が数百ページに及ぶことや事実との符合度合から、西側には本物とする意見が大半である。かってアメリカ副大統領が、強制収容所に収容・迫害されたウイグル族は数百万人に上ると述べたことを契機として、ようやく中国政府もウイグル自治区に「職業技能教育訓練センター」が存在することを認めた。今、同センターの実態が明らかとなりつつあるが、やはり看板とは裏腹のウイグル族の中国化教化と反イスラム教育が主体であるらしい。アメリカを頂点とする西側社会は、中国の領土欲・膨張欲・人権侵害に対してチベット・ウイグルと成す術もなく敗退したが、香港についてアメリカは「香港人権法」を成立させた。当初は、これ以上の米中摩擦を引き起こさないため大統領は署名を見送って発効させないだろうと観測されていたが、トランプ大統領は関税摩擦交渉の一環として香港カードを使用する意思を示したものと考える。更に国際世論がウイグル族問題と香港問題は「明日の台湾」と見ていることもあって、アメリカが香港で影響力を行使し得なければ台湾を失うという危機感を抱いている表れとも考えられる。台湾の総統選挙でも一国二制度による中国統一を掲げる国民党に逆風となる等、香港問題・ウイグル問題は東アジアはもとより世界規模で注視されている。

 おりしも「お花見問題」で野党は国会での審議拒否を表明した。香港人権法や日韓GSOMIA継続を審議・可決したアメリカ議会と、倒閣のための政争を第一義とした野党による国会の空転、どちらが議会制民主主義下の議会として機能しているのだろうかと考えざるを得ない。