もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

英国・韓国を他山の石として

2019年11月19日 | 韓国

 英国のEU離脱問題と韓国のGSOMIA破棄問題は、多くの教訓を示しているように思う。 

 英国のEU離脱に弾みをつけたのは、EU残留派のキャメロン首相が英国内にくすぶっていたEU離脱要求を国民投票で否決して政権基盤を強固にしたいという政治的な思惑を発端にしていると思う。国民投票前は、識者の間ではEU離脱は当然否決されると観測されていたが、一片のフェイク情報によって多くの国民はEU離脱に賛成して、現在の自縄自縛状態に陥ってしまった。一方の韓国は「反日のためならば何をしても許される」「日本は決して対抗策を採らない」との思惑から、日韓請求権協定を無視して徴用工に対する最高裁判決を出してしまったが、日本側の反撃によってGSOMIAの破棄という禁じ手にまで走らざるを得なくなった。両者に共通しているのは、国民、特に「物言わぬ多数(サイレントマジョリティー)」がモンスター化してコントロール不能となったということであると考える。その原因は、国民がSNSによって種々・雑多な情報を得るため、正当(真っ当)な論が黙殺されることではないだろうか。自分の目で見れば、積年の恩讐を超えて欧州(特に、独仏)が協調しているのに、英国のみジョンブルの優位に固執することは奇異に映るとともに、EUから離脱してもFTAで経済的な恩恵は維持しようとするのは余りにも虫が良すぎるように思えるし、朝鮮族統一が唯一無二の選択肢とする韓国の姿勢は奇異に感じる。しかしながら両者には決定的な相違点がある。英国は政治・経済の枠組みからの離脱は主張しても、欧州防衛の根幹であるNATO体制からの離脱または分担縮小については一切口にしないが、韓国は通商問題をあっさりと国防・軍事という次元の異なる問題にすり替えてしまった。この原因が両国の国民の成熟度に起因すると考えるのは言いすぎであろうか。しかしながら、英国民は地勢的な意味と自国繁栄の基盤を理解しているのに対し、韓国国民は日本に対する朝鮮族の優位確保という一点に思考を限定しているように思えてならない。確かに文大統領の思惑通り、北の核兵器を利用して圧倒的な陸上兵力を使用すれば一時的には日本を占領・凌駕することは可能であろうが・・・。

 今、EU諸国には英国疲れの風潮が蔓延しつつあると報じられており、既に日米では以前から韓国疲れが取り沙汰されている。韓国は頼みとする金正恩氏から、金剛山観光の拠点である韓国建設の施設破壊を示唆される等、発言力の低下と国際的な孤立化を余儀なくされているが、大統領・国防相・国会議長・通産官僚の主張は、見事に金太郎飴的であり、子供の使いにも似ており外交交渉というには余りにもお粗末と思うのだが。