参院選たけなわであるが、本日は乗員の投票についての懐旧談である。
艦艇乗員は、母港停泊中は一般と同じように投票所で投票する。現役時代は投票開始が0800時であったために、0745までに帰艦しなければならない当直勤務者は投票できないことになるので、投票日当日に限っては帰艦時刻が延長されていたが、そうなると艦での無料朝食が採れないことになった。当時の呉港周辺には、1軒だけ早朝からやっている小さな一膳飯屋があり、いつもは早出の工員さんが利用する程度であったが投票日当日は投票して帰艦する自衛官で商売大繁盛、自分も普段の艦内喫食では味わえない新鮮な雰囲気を味わったものである。
投票日当日に行動が予定されている場合は艦ごとに纏まって不在者投票を行ったが、1個護衛隊ともなれば有権者も3・400人に上り、当時の方法は記入した投票用紙を封密するためにその資材・手間だけでも選挙管理委員会には相当な負担になったことだろう。さらには、不在者投票所は概ね市役所に1か所だけに開設されていたために、投票する側でも1日仕事であった。
抜き打ち解散等によって不在者投票ができない状態にあっては、若年隊員の頃は棄権を余儀なくされたが、その後、艦艇でも選挙管理委員指定のうえ投票所を設置して投票できるように改善された。しかしながら、この場合も投票用紙は出港前に配布を受けたり、航空便で輸送されたりと間に合ったものの、選挙公報は間に合わずに通報された候補者名だけで投票しなければならない場合もあった。
かっての投票はこのような状況であったので、艦艇乗員の投票率は相当に高かったのではと思っている。纏まっての不在者投票や艦内投票所での投票率は100%で、一般投票所での投票に関しても棄権した場合は何時しか班長の耳に入って小言を言われたので、敢て愚を犯す乗員はいなかった。
現在、世界的に投票率の低下が懸念されており、各国では棄権者に罰則を設けたり、投票者に何らかの恩恵・恩賞(エサ)を与えることで投票率の改善を目指している。低投票率は日本でも顕著で、本朝のTVでも投票者に割引する飲食店が紹介されていたが、国政選挙ですら50%内外の投票率であることを考えれば、罰則制度も考えなければならないのではないだろうかと危惧している。
政治に期待が持てないから投票所に足を向けないと公言する人がいる。
我が選挙区では定員5名に対して22名の立候補者がいる。広報未着の状態であるので略歴だけから推測するに、支援組織もなく300万円の供託金も没収されるであろう候補者も散見されるが、それでも行動する人がいる。
どちらが、国民・社会人としてのあるべき姿かは改めて問うことも要しないと思うが、300万円不如意で行動できない自分を含め、少なくとも投票だけはしなければと思う。
投票の際には、改憲勢力に清き1票を!!。