goo blog サービス終了のお知らせ 

もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

細田議長の文春砲提訴に思う

2022年06月18日 | 与党

 細田博之衆院議長が、女性記者へのセクハラ疑惑を報じた週刊文春(文芸春秋社)に2,200万円の損害賠償や謝罪広告の掲載などを求め、東京地裁に提訴したことが報じられた。

 細田議長のセクハラ疑惑に対しては、永田町では「あの人ならば、もしや?」という空気もあったようであるが、疑惑が真実かどうかは分からない。
 自分は報じられた当初から、記事が匿名(全国紙政治部女性記者)の伝聞を基としており、かつ直接被害を訴える人が明らかでないことから「眉唾の可能性あり」と思っていたが、市井では事実と取り沙汰され、立憲民主党でも議長不信任要求の根拠の一つに挙げていたと理解している。今回の提訴を好意的に観れば、細田氏が法廷・白日の下に審理されることを厭わない姿勢を示したもので、やや細田議長有利の感が否めない。
 また、週刊文春編集部が「国権の最高機関のトップである議長が公の場で一度も説明しないまま提訴に至ったのは残念。記事には十分自信を持っている」とコメントしたとされているのも、おかしな話である。文春は、この記事によって何を伝え・訴えたかったのだろうか。考えられるのはただ一つ「議長の公の場での説明による混乱」であり、自社の記事が「その発火点になることで、売り上げを期待する」ことに過ぎないように思える。
 数年前に、自分自身を明かした#MeTooで社会的地位にある人のセクハラを追及することが大きな潮流となり、日本でも勇気ある女性が声を挙げたことがあったし、その風潮を否定するものではないが、俎上に上げられた著名人は社会的信用を問われるとともに社会人としての存在すら否定されることを考えれば、今回の伝聞を基にした議長攻撃は#MeTooとは似て非なるものに思える。

 かっては女性擁護のために、匿名による告発や痴漢被害などは「100%真実」とすることが定着していたために、少なからぬ痴漢冤罪者を出したが、現在ではそれらに対しても客観的に捉えるように修正されつつあると思っている。
 件の「全国紙政治部記者」が真に社会正義を求めるジャーナリストであるならば実名を明かして告発すべきであり、文春が社会公器の自覚を持っているならば情報提供者を説得して実名報道すべきであると思う。遮蔽物の陰に身を潜めて発射する文春砲では、命中もままならずの無駄弾に過ぎず、却って社会を混乱させることだけを期待した空砲にも思える。

 女性からは総スカンを食らうであろう無駄弾を一つ。
 フランス艶笑小咄では、小間使いから性被害の相手と名指し逮捕された老紳士が、疑惑が晴れた後も「犯人は自分」と云い募る様がある種の悲哀を込めて語られる。
 細田議長は1944(昭和19)年生まれの78歳である。自分を含めた大方の同世代は既に排尿機能さえ覚束ないと思うが、そんな中でのセクハラ疑惑は細田氏にとっては「男の勲章」とすべきかもしれない。