もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

米国の中間選挙に思う

2022年11月04日 | アメリカ

 アメリカの中間選挙が大詰めを迎えている。

 報道を観る限り、民主・共和両党の対決だけではなく、両党に共和党トランプ派を加えた三つ巴の様相を呈して当落を測り得ない様相を呈しているらしい。
 混迷・混乱の原因は、民主党バイデン大統領の指導力不足と民主党左派への警戒感に起因するようで、大統領選の揺り戻しであろうと推測している。特に、グランドデザインを持たないままの移民寛容政策、ウクライナ侵攻を許したことが大きな要因ではないかと感じているが、トランプ氏の強権を嫌ってバイデン氏を選んだものの、バイデン氏の健康不安に加え、大統領職継承順位2位のカマラ副大統領、同3位のペロシ下院議長が揃って急進左派であることから、有権者がアメリカの左傾を懸念している様子が見て取れる。
 また、大統領宣誓式で「ノー・サイド」「分断融和」を訴えたものの、就任後に相次いだ韓国の積弊清算にも似た前政権の全否定は、国民の更なる分断を煽る結果となったようである。
 移民寛容政策は、単に民主党に投票することが期待できるマイノリティ層拡大を目論んでのこととは衆目の一致するところであるが、トランプ以降の不法移民の急増でメキシコとの国境を持つ4州では対応に苦慮しており、白人富裕層の多い地区に不法移民を飛行機で送りつける州知事も現れた。この空気を読んだかバイデン政権も、メキシコへの不法移民強制送還を拡大するとしたが、この決定もメキシコを含む国境4州の混乱に拍車をかけるだけと冷ややかに受け止められている。
 ロシアのウクライナ侵攻を許したことも共和党政権の失点と捉えられているようで、失点回復のためであろうかペロシ下院議長に台湾を訪問させるという演出を見せたが、これに関してもホワイトハウス報道官は、対中曖昧戦略の転換ではないという隔靴掻痒に終始している。
 これらの様相を観ると、有権者の間には強いアメリカを再興しつつあったトランプ氏復活待望論は想像以上に根強いように感じられるが、大統領権限が屹立しているアメリカでは、例え上・下院で共和党が過半数を占めたとしても、大統領への対抗手段は予算案の否決くらいしかできないために、アメリカの左傾を食い止めるには次期大統領選まで待たなければならないように思える。

 一旦預けたものの「空白の3年間」しか残せなかった日本の民主党、一旦期待したものの「市場の混乱」を招いて45日間で首相を見限った英国、ウクライナ人の生命と世界の食料・エネルギーを混乱させる要因となったバイデン氏、一時の熱狂と一点のみの期待感で選ばれた指導者が辿る道筋を示しているように思える。
 おりしも国会では、憲法も軍事も忘れたかの「統一教会一点」の論議に狂奔しているようであるが、経験に学ぶことを知っている賢明な有権者は、おいそれとは立憲民主党に政権を託す愚は侵さないと思っており、ガリレオ風に「それでも北朝鮮のミサイルは頭上を飛び交っている」と嘯く事態にはならないことは確実であると思っている。