自宅ポストに、当地で進められている火力発電施設更新に対する反対請願の署名依頼が投げ込まれていた。
署名呼びかけ人(市民団体代表)はネットで「身内の公害病罹患によって自然・環境保護活動に挺身するようになった」と述べておられる。また、呼びかけ・依頼書も、多色刷りされた上質A4用紙2枚が返信用封筒に収められている立派さで、「さぞやお金が掛っただろう」という感想を別にして脱炭素社会実現を真剣に考えられてのことだろう。
「脱炭素社会」の実現は喫緊の問題であるとは思っているものの、残念ながら商用電力の在り方についての自分の考えとは隔たりがあり過ぎて署名・返信はしないものの、問題に対して行動する気概の無い自分としては、考えさせられるところである。
些か残念に思ったのは、資料に「再生エネはタダ」とゴチック強調されていたことである。種々の機関が発表している「発電コスト試算」を見ても、再生エネ発電コストは石油火力発電には勝るものの、原子力や石炭火力に対しては割高とされており、更には、大手電力会社が負担している送電網の維持費を再生エネが分担する形態ともなれば再生エネの発電コストは高騰するとの指摘もある。このような国民の負担増を隠して訴えることは、高邁な主張を損なうものではないだろうか。
立民の前代表枝野氏が、自分が陣頭指揮した昨年10月の衆院選で消費税率引き下げを公約として訴えたことは「政治的に間違いだったと反省している」と講演会で語ったことが報じられている。
記事では、この発言に「減税を信じて投票した有権者に無礼」等の批判が殺到していると付されているが、寄せられたコメントを眺めるとむしろ「当然」「分るのが遅すぎる」とする意見の方が多いように思う。党内からも塩村あやか参院議員が枝野氏に賛同、蓮舫参院議員すらも「・・・国の財源が決定的に不足している事実から目を背けてはいけない」と枝野氏の懺悔に賛同しているとされている。
衆参両院選挙での大敗を、政策の未熟さと認めつつも地方組織の脆弱さが主因としてきた泉執行部としては足元を掬われた動きであるが、大敗野党の常套句である「解党をも辞さない出直し決意」のためには避けて通れない難題を突き付けられたものではないだろうか。それとも、復権のための枝野劇場第1幕に無きにしも非ずに過ぎないん尾だろうか。
古来から現在まで騙しのテクニックとして「羊頭狗肉」は最もオーソドックスで有効な手段とされているが、前段の市民団体は伝統の羊頭狗肉に忠実に、後段の枝野氏はその弊害に漸く気付いた行動であるように思える。
ちなみに、羊頭狗肉の類義語として「牛頭馬肉」という言葉もあるらしいが、日本人にとって狗(犬)肉はおぞましいが、馬刺し食が市民権を得ている現状では類義語としてはどうだろうか。