もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

空襲警報

2022年11月05日 | 軍事

 Jアラートの不備と改善が話題となっている。

 Jアラートシステムについては、ハード面では予測精度を向上させ、ソフト面では分析練度と情報伝達速度の強化・向上が必要であると思うが、さて、受け手の対応は十分だろうか。
 度重なるJアラートで、果たして何%の組織・国民が対応措置を取ったのだろうか。鉄道各社の列車減速や運航休止は伝えられるし、二次災害が懸念される原子炉や大型プラント等では緊急停止のシーケンスを発動しているものと思うが、ガスの元栓を閉めた飲食店や家庭は、退避行動や防護姿勢を執った人は果たしてどれほどであっただろうか。自分の例を書けば、「ホー!!またか」で何の措置も取らなかったし、映像で見る限り道行く人も近傍のビルに駆け込むでもなく、ましてパニックとは程遠い状態にあったものと思う。
 朝鮮戦争の記憶が生々しかった時期の韓国は、全国民を対象とする「空襲避難訓練」を年に複数回(?)行っており、道行く人もサイレンと同時にビルや防空壕に避難していたが、世界的な緊張緩和と朝鮮戦争の記憶が風化して、何時しか実施されなくなった。
 日本では、大東亜戦争後には空襲に怯えることも無く、学校での軍事教練も無くなったために、個人防護はどうすればよいのか大多数の人は知らないのではないだろうか。海自OBの自分でも、艦艇の戦闘状態では個人防護よりも攻撃・防御装置の作動・運転が優先されるために当然のことかと思うが、空襲や爆発に対する個人防護姿勢は教えられた記憶がない。唯一、戦時中に軍事教練を受けた先輩から、「両手の親指で耳を抑えて残りの四指で頭又は目を覆い。腹部を守るために頭を下げて丸くなる」と教えられたが、正解であるかどうか分からない。
 ちなみに、「内閣官房ポータルサイト」の「弾道ミサイル落下時の行動」で見ると先輩の教えもあながち間違ってはいないようである。

 誤発信や空振りが多かった緊急地震速報も時日・回を重ねるに従って精度が向上していることを思えば、Jアラートシステムも日を追って改善されるものと思うが、Jアラートを国民に対する「死亡日時の事前通告」や「死刑執行通知」としないためにも、国民の協力は不可欠であるように思う。現在取り沙汰されている防空演習(仮称)は自治体職員の連絡図上演習や救護活動が主体で一般市民参加の訓練は無く、市民参加型の防空演習については種々の理由を挙げて反対する空気が支配的である。
 自分のように老い先短い身であれば憂うことも無いが、空襲後の日本再建に必要な若者を中心とした市民参加型の防空演習を実現させて欲しいと願っている。
 せめて、個人防護姿勢のPRくらいは、政府広報で行って欲しものである。