北朝鮮が今月2日に発射して南北軍事境界線にあたる北方限界線の南側に着弾したミサイルが、SA5であることが報じられた。
ミサイルについて良く知らないのでSA5について調べてみた。
NATOコードでSA-5(ガモン)【ソ連・ロシアはS-200(アンガラ)と呼称】と呼ばれるミサイルは、1960年代にソ連が開発した2段式固体燃料ロケットで核弾頭も搭載できる地対空ミサイルとされている。射程は少なくとも70km以上とされるが250~300kmまで到達可能との不確定情報も有るらしい。また、従来型は固定発射台からの発射で機動性に欠けるとされてきたが、おそらく移動式発射台からの発射が可能なように改良されていると観るべき様に思える。
改造型を含むSA5は現在でもCIS諸国、旧ワルシャワ条約機構参加国が保有・運用しており、アジア地域でもイラン・シリア・インド・北朝鮮等が保有しているとされている。
SA5というコード名が示すように本来は地対空ミサイルであるが対地攻撃にも利用可能とされ、ロシアも同様の機能を持つ地対空ミサイルを地対地ミサイルとしてウクライナ攻撃で使用しているようである。
北朝鮮が乱射しているミサイルの一部がSA5のような旧式のミサイルであることが判明したことに際して、一部には「北朝鮮が新型ミサイルを撃ち尽くして・・・」とする論評もあるが、自分はミサイルの更新・近代化が完了して旧型ミサイルを保有する必要がなくなったための「在庫一掃処分」に近いものではないかと思っている。
SA5の脅威は射程から考えると韓国に限定されるようであるが、北朝鮮が保有しているミサイルの一部が旧式であることによって日本・極東地域への脅威や世界規模の危険性が少なくなったと考えるのは早計であると思う。
SA5の発射(射耗)と符合するかのように北朝鮮~ロシア間の列車運行が再開された事実を眺めると、SA5のように旧式であるが戦場で使用可能な兵器がロシアに還元供給されたと考えるべきで、同様な動きは北朝鮮だけでなく、イランやベラルーシ等にあってもおかしくないものと思えば、ロシアの継戦と世界の混乱に手を貸す勢力は尽きることが無いように思える。
文禄3年8月24日(1594年10月8日)に釜茹でされた石川五右衛門は、「浜の真砂は尽きるとも・・・」と見得を切ったが、600年後の現在でも浜の真砂すら尽きていないようである。