「TVタックル」で裁判員制度批判の元裁判官の意見を聞いた。
論旨は、裁判員裁判での量刑を最高裁が減刑したことから、裁判員制度は不要との発言であった。量刑に国民感情を反映させることに加え「世間知らずの裁判官の排除、国民感情から乖離した司法改革」のために採用された制度を否定する発言で、裁判官の権威と既得権確保と懐古の情からの発言でしかないと思われるものであった。3審制度下において下級審の量刑を上級審が変更することは、1審が全て裁判官裁判であった時代も数多くあり、審理不十分や事実誤認を理由に差し戻されたことすら茶飯事であったことを思えば、最高裁の減刑をもって裁判員制度不要との論旨は成立しないと思う。さらに裁判員制度を続けて欲しいのは、裁判員裁判が犯罪の内容と量刑に対する国民感情をストレートに伝えられる方法であるからである。裁判員制度が無い時代に司法との乖離を解決するためには、複数回の国政選挙を通じてようやく立法措置が行われるという迂遠な方法しかなかったし、ようやくなった立法措置も既に時代遅れの感があるという鼬ごっこであったからである。
裁判員に指定された市民の負担は多いと思うが、司法を国民の物とするために頑張って欲しいし、裁判員制度を続けて欲しいものと考える。