もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

要約に思う

2025年01月26日 | 報道
 昨日の産経新聞の1面大見出しは《首相 野党に責任共有訴え》であった。
 瞬間湯沸かし器の自分は一覧して、いやしくも行政府の長(指揮官)が、野党に失政の責任分担を求めるのは言語道断、指揮権の放棄に他ならないと怒り心頭に達した。気を静めて施政方針演説の全文を読むと、どうやら、随所に出てくる「(過半数に達しない自公の悲哀から)与野党の枠を超えての議論」や結語で述べた「比較第1党としての責任を持つが、国民・国会議員の御理解・御協力をお願いする」という部分から全体の印象として「責任の共有」と要約したものだろうと思える。
 指揮官とは”敗軍の将は兵を語らず”に尽くされた様に 「立案の課程や作業の推移がどうであれ、結果については全責任を負う」のが常識である。石破総理を指揮官型ではないと断じる自分は、石破総理ならばさも有りなんとしての湯沸かしであったが、総理もそこまで愚かでは無いと胸をなでおろした次第である。
 この自分騒動の一端は偏に産経の要約に起因する。施政方針演説の前に、自公が過半数に達しない与党であること、国民民主の年収の壁の嵩上げを飲み、補正予算の修正で立民の修正を飲んだこと、等を予備知識として持っていたので、結語の定型句に近い協力という言葉から、責任の共有という要約を導き出したように思うが、要約者が指揮の根源を理解していれば、責任の共有という言葉が持つ指揮官の全否定につながる危険性から使用しなかったように思う。
 幕僚であった頃「資料・要約の孫引きは絶対にするな」と教育された。他人の資料や要約を引用すれば作業は手っ取り早いが、その資料・要約が恣意的であったり、別の結論に誘引する意図のもとに構築されていれば、違った結論に辿り着く結果になる。
 東国原英夫氏が、兵庫県議の自殺に関するブログで他人の要約を元に推論し、メディア出演辞退と自粛している。
 影響力極少の当ブログにあっても、孫引きを慎み、出典を明示し、瞬間湯沸かしのガスを絞って、早とちりの根絶に努めたい。

中居正広氏報道に思う

2025年01月25日 | 報道
 中居正広氏が芸能界を引退した。
 引退せざるを得なくなった中居氏の女性問題の詳細は知らないので、的外れであるかも知れないが、報道と民情に関する所感を忘備録として残すことにした。
 中居氏の引き起こした女性問題とは、中井氏側が女性に9千万円の和解金(=慰謝料?)を支払うことで双方が納得していたものの、後日に週刊誌が報道したことで注目され、紆余曲折の末に中居氏の引退で幕が引かれることになったと理解している。
 世間の耳目を集めた騒動ではあっても、双方が和解した案件について中居氏を引退に追い込むほどの報道は行き過ぎではないだろうか。例としては適当でないかも知れないが、刑事事件で刑期を終えた出所者に、前科者として刑罰以上の報復を求め、最終的に社会から排除することに似ているように思える。
 前科者の社会復帰に対して多くの報道機関は、社会全体で支援し社会からの爪弾きを諫める論調であるが、今回の報道を眺めると、金太郎飴的に中居氏側糾弾に終始し中居氏を擁護するものは無かったように思う。
 長年連れ添った夫婦が一方の不実で離婚する場合も財産分与を別にすれば慰謝料部分が百万円単位であることを思えば、9千万円の慰謝料は将に破格であるように思える。更には、世間的に慰謝料と云う制度・慣習は、犯罪に至らぬ不実をチャラにする意味合いを含んでいると思うので猶更に思える。
 斎藤兵庫県知事叩きも、報道機関の”悪人レッテル”張りは金太郎飴的で斎藤氏の行政手腕や業績に触れて擁護する報道は皆無であったが、出直し選挙で兵庫県民は行政実績を高く評価し斎藤氏を擁護した。この時も、マスメディアの大衆迎合的報道が的を得ていないと批判されたが、今回の報道姿勢にも同様な匂いを感じるのは自分だけであろうか。
 報道関係者にあっては、何のために報道するのか?、真の社会正義を求めてなのか?世間が注目するからバスに乗り遅れないための報道ではないか?との自問・自省を忘れないで欲しいと思うものである。
 一方、読者・視聴者も、テレビや新聞が”言っているから”・”書いているから”、”そうに違いない”との考えは捨てる時代に来ているよう思う。

お絵描きクラブの日

2025年01月24日 | 美術
 お絵描きクラブの日、最近の駄作を掲載致します。
 1枚目は、洋式の壺にネットから拝借した13代柿右衛門の模様を当て嵌めてみました。ブドウも手強かったが、背景作りにも行き詰まり2枚目の自作の絵を掛ける体にしました。ご笑覧下さい。

「柿右衛門様式(F4)」
「里の秋(F6)」

石破外交は?

2025年01月23日 | 与党
 石破総理誕生後の外交を観ると、何かおかしい。
 岩屋外相就任後の主要訪問先を辿れば、中国⇒韓国⇒米国となるが、中国ではEEZ内のブイ設置、日本人の不法拘束、在中日本人の安全確保、水産物の輸入禁止・空軍機の領空侵犯等喫緊の問題について中国の対応・言質を得ることなく、中国人観光客の観光ビザ要件緩和という手土産を渡したに過ぎなかった。
 内乱騒動の渦中であることから訪問自体を疑問視する声が高かった韓国訪問では、日米韓の安全保障連携強化という当事者レベルからの儀礼的な挨拶を得たに過ぎなかった。
 トランプ大統領就任式に政府代表として参加したアメリカでも日米首脳会談の時期決定には応じて貰えずに早期実現という当事者レベルの儀礼的な対応を得たに過ぎなかった。
 石破総理はと云えば、各国に先んじて東南アジア2ヵ国を歴訪してアジア地域の安定強化を説いたものの、既に中国経済に主導権を奪われている各国が時代感覚の無い空論を無条件に受け入れることも無かった。
 石破政権の掲げる「米中バランス外交」は、既に米中ロの固定3極にイスラムが挑むという様相を呈している国際情勢とは懸け離れていることは明白で、まして対中敵視政策を公言しているアメリカ(トランプ゚)とそれを受けて立つとしている中国から鵺的2枚舌外交と受け取られることは確実に思える。2枚舌外交失敗の好例としては韓国の文大統領が、結果的には両国の信頼と国際的な信用を失ったことが挙げられるように思う。やや小粒ながら鳩山由紀夫氏の外交姿勢とも通じるという見方もある。
 研究者型の石破氏にあっては、小国ながら東西冷戦下の国連で存在感を示したアルバニア像を描いているのかもしれないが、如何なものであろうか。
 岩屋外相についても不満である。岩屋外交は自民党の党是を左右する外交部会とは無縁に行われたもので、新年早々の部会では疑問符以上に怒りの発言に終始したと報じられている。さらには、異見を求められた次官経験者が「日本だけが外交カードを切る!!外務省もそこまでバカではない」と伝えられているので、自民党・外務省の意向を無視したスタンドプレーであるように思える。
 この個人技の不手際は、石破下しをすれば修復できるのだろうと思えるのが唯一の救いであるので、それを早期に実現して石破・岩屋両氏が発出を企図している「戦後80年談話」だけは何としても阻止しなければならないと考える。安倍晋三氏が「戦争を知らない世代にまで戦争の土下座を強いることへの訣別」を宣言した戦後70年談話で十分である。所謂近隣諸国も中韓を除いてその談話は好意的に受け止められている。
 ただし、中韓を除いて日本の進歩的識者も安倍氏の談話を評価していないことも触れておかなければならないように思う。

北別府学氏を偲んで

2025年01月22日 | カープ・スポーツ
 カープ黄金時代をエースとして支えた北別府学氏の番組を観て久々に涙を流した。
 改めて紹介するまでもなく、北別府氏はカープ一筋で200勝を挙げた唯一の選手であるが、白血病で3年間の闘病生活の末に2023年6月に65歳で亡くなられた。
 当時のカープのお歴々が語る彼の人柄は、物静かで優しい反面、闘争心は旺盛で何より練習熱心であったとされる。特に、入団1年目19歳のキャンプで自分の球速ではプロの世界に通用しないと見極めて、制球力に活路を見出した判断力と制球力獲得のための練習量は、猛練習が基本とされるカープにあっても突出していたという。こうして得た制球力をもって世上は氏を「精密機械」と称えた。
 エース=完投とする北別府氏にあっては、マウンドで交代を打診するコーチに、「次は誰が投げるん」「そいつだったら俺が投げ続ける」と公言する程であったが、優勝が決まる試合の5点リードで8回を投げ終えてベンチに帰った氏は山本浩二監督に「津田(恒美)に変えてくれ」と願い出たそうである。優勝投手の栄誉を誰よりも知っており、加えて完投を勲章とする北別府氏が完投という勲章を捨て、栄誉を1年間クローザーを続けた津田恒美氏に譲ったとの秘話には泣かされた。番組に出演されていた女優でカープファンの東ちづるさんはこの秘話をご存じであったらしいが、自分は初めて耳にした。野球チームのガバナンスでは、自分の次の投手を指名することはあってはならないだろうが、この場面では北別府氏の行為は感涙に値するものではないだろうか。
 北別府氏闘病の3年間は過酷なものであったらしいが、周囲に弱音を一言も漏らさなかったと長女が語っていた。
 北別府氏ほどの覚悟は当然に持ち合わせていない自分であるが、最後まで弱音を漏らさないようにしたいものである。弱音を吐く暇の無いピンコロであって欲しいが、現状を考えると苦闘は若干長引きそうなので北別府氏の最期を思いながら闘病して旅立ちたいものである。