ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

誰もが「共に生きる」を大切にしてきた試みから

2008年11月08日 13時17分30秒 | 障害者の自立
 福祉から就労へという政策の流れが顕著である。もちろん、政策当局だけではない。本人たちやその周りにいる人たちも、当たり前に「共に」働きたいと願っている。本人たちや周りにいる人たちも、本人たちが働くことを重視する取り組みを始めている。きわめて普通のことだという受け止め方もある。でも、ちょっと立ち止まって、見なおす必要もあるようだ。いつも転載させていただいている社会福祉法人路交館が編集・発行している『あいどる』(第94号、2007年04月)の巻頭では、枝本信一郎さんが「<働く>ということ」と題して書いていらっしゃる。ご承諾をえたので、ここに転載する。なお、いつものように、題名、中見だしを付け、改行も自由に行ない、さらに私の感想なども付け加えた。以下、まず枝本さんの文章を紹介する。

■ 知的障害を持つ人たちにとっては就職への険しい道
 路交館では、障害者自立支援法による多機能事業所ウィリッシュで、就労移行支援をはじめた。正直のところ、あまり深く考えず、障害者にとっても「働く」ことはあたりまえだから・・・程度の思いで、この事業の実施を決めた。が、ウィリッシュの主な利用者である知的障害を持つ人にとって、一般就職への道は、思った以上に険しいことを思い知らされている。

■ 職場に参加し、役割を積極的に担う共同体へのかかわり
 第一に、周りの人々(仲間)に向ける眼差しが弱すぎると感じる。共同体を作る力、共同体に参加する力が弱いのである。「共に・・・」の場から疎外され続けてきた結果であり、また、個別的な教育・訓練に閉じ込められてきた結果なのだろう。

 言うまでもないが、就職することは、職場という新しい共同体に参加し、その共同体の構成員の1人としての役割を担うことに他ならない。が、それが弱い。

 能力的な意味で、「役割が担える」かどうかを言いたいわけでない。周りの人々(仲間)に向ける眼差しが弱すぎるのである。

 むしろ、重い知的遅れを伴う自閉症で、一般就労は困難(就労移行支援の対象にならない)な人でも、地域の保育所・小中学校に通い、また、学童保育などで長期間仲間活動を続けてきた人の方が、共同体に参加する力を持っていると感じる。より就職に近いと思える軽度の知的障害者ほど、このような傾向が大きいのだから、問題は大きい。

■ 働くことの役割意識をもつことの重要性
 第二に、「働く」ことを、「お金を稼ぐため」としか考えていないことも、問題に感じる。たしかに、働くのはお金を稼ぐためであり、そのお金で自分の欲しいものを買うためであることに違いはない。

 が、それだけではないはずである。働くことそのものが社会参加であり、古の人の言うごとく「傍(はた)を楽にする」ことに他ならない。人は、そのような(社会的)役割意識を持っている(感じている)からこそ、働き続けることができるのではなかろうか。

 だが、とくに比較的軽度の知的障害者のようすを見ていると、そのような役割意識を持っているような雰囲気が感じ取れない場合が多い。長期間、「自分のことは自分でする」世界に、まわりの人々(先生や親)によって閉じ込められてきた結果のように思う。もっともっと、多様な人々のあいだで、協力し合いながら生きる。そのような経験の蓄積が必要だったように感じる。

■ 働きつづけ、お金を使うためには「ゆめ」が必要
 第三に、働くことそのものが自己目的化しているとさえ感じる問題がある。働いてお金を稼ぐことは考えても、そのお金を使うことに、「ゆめ」を感じることが少ないのである。自分で稼いだお金を使うことは、自分の人生を自分の稼ぎで生きることであり、そこにはそれなりの「ゆめ」が必要だと思う。

 お金を使うことに「ゆめ」を感じにくいのは、無駄使いの経験があまりにも少ないからではなかろうか。間違いのない正しいお金の使い方は、もちろん駄菓子や缶ジュースを買うといったレベルを超えての話だが、周りの人々の強い示唆と管理の下にしかありえない。そして、そこには「夢」が育ちようもない。

 これでは、何とか「できること」を増やし、就職先を見つけても、それが長続きするように思えない。就職に失敗して引きこもりに陥る障害者が多いことも、あながち不思議ではないように思うのである。

 以上が、枝本信一郎さんの文章である。

■ 多くの人に当てはまる指摘――大谷のコメント(1)
 枝本さんが直接に触れ合った障害者、とくに知的障害者について、書かれた文章である。枝本さんは、ご自身が実際に関わられた経験をもとに、文章を綴ってこられた。たしかに、知的障害者の労働に適合する指摘である。しかし、転載のため文章をパソコンに打ちこんでいた大谷によると、知的障害者以外の多くの人にも当てはまるところが多い。

 もちろん、知的障害者について述べていらっしゃるが、もっと広く捕らえることができると思う。現在、労働に就こうとしている多くの人にも、ほとんどそのまま当てはまる。

■ 社会を形作っている人々の変革――大谷のコメント(2)
 枝本さんの文章には「共同体」という表現がある。私が良く使う言葉では、組織のあり方、というか、日本企業や職場のあり方と、受けとめた。企業や職場を変えるきっかけにしてほしいと思う。

 もちろん、障害者にだけ求めることは、過剰な期待感だとも思う。しかし、これまでの会社組織や職場で、もっとも「異質」とされていた障害者が企業や職場に入ることによって、なにかが変わるといいと思っている。企業社会や職場に対して、障害者からの発信を期待したいと思う。

 ちょうどこの文章を読んでいた時期に、岩田靖夫さんの「デモクラシー成立の基礎」(『書斎の窓』有斐閣、2007年06月)を読んでいた。その一節に「人間は一人で生きているのではなく、共同体の中で生きている。それゆえ、どのような共同体を作るかは、人間にとって根本的な重要事である」という文章を発見した。たしかに、どんな共同体を作るかは、重要な課題だ。共同体という言葉から連想した読み手の勝手な誤読である。

■ お金だけが目的の労働は寂しいが、お金を持つことも大切――大谷のコメント(3)
 枝本さんは働いて稼ぐことも重要だが、そのお金を使うことに「ゆめ」を感じて欲しいと思っていらっしゃる。その理由として、無駄遣いの経験がないからだというのは、面白い指摘だ。こんなつまらなモノに自分が一生懸命に稼いだお金を消費してしまう人生は、面白くないと思う。

 もっと、豊かな人生を作るためには、夢をもつことが重要だと、徐々に気付いていく。その道のりを自分で歩む過程が大切なのだろう。あるいは、他人が教えてくれる場合もあるし、他人の生活を傍で見ていて気がつく場合もあろう。

 と同時に、自分で働いて稼いだお金を自分が自由に使った経験さえない人もいるだろう。その時には、無駄使いも大切なプロセスとなるだろう。

 しかし、多くの知的障害者は時給わずか100円台で働いているという。作業所が最低賃金法に違反している事例は、多い(神戸の作業所については読売新聞、2007年02月19日)。ここでは、あたりまえに働いていても、障害者は「訓練」という名目で、最低賃金にすら届かない現実がある。知的障害者をそんな状態に置いてきたこれまでの「福祉」政策(福祉的就労という合法化も)が、問題だろう。こうした労働の場があることを、障害者たちも変革してほしいと、期待する。


歯ミカップ:障害者の口の健康、歯磨き通じ考える 都多摩立川保健所で開催 /東京

2008年11月08日 13時13分37秒 | 障害者の自立
 障害者の歯と口の健康を地域で考える集い「第2回歯ミカップ」(歯ミガキワールドカップ)が6日、都多摩立川保健所(立川市)で開かれた。歯磨きや検診を通じ「命の入り口」という口の健康を守り、障害者の自立支援を図るのが目的。約180人が参加し、個人と施設部門の表彰に続き、口の周りの筋肉を強くする「健口体操」を楽しんだ。

 個人努力大賞には東大和市の石井聖子さん(34)ら39人が選ばれ、石井さんの母三恵さん(61)は「音楽や好きなお笑いの言葉を聞かせて(石井さんの)緊張を解き、口を開けやすくしています」と取り組みを紹介した。施設大賞は武蔵村山市の通所授産施設「えのき園」。利用者が並んで歯磨きできる洗面台の設置や歯科衛生士学校の学生との交流などが評価され、表彰状のほかに「歯ミカップ」が贈られた。

 多摩立川保健所が管内の障害者施設や歯科医師会などに呼びかけ、障害者の健康づくりに役立ち、励みにもなるイベントとして昨年度から開催している

知的障害者パニック時 これが対処法

2008年11月08日 13時12分04秒 | 障害者の自立
チラシ1000枚 商店などに 町田の団体、掲示呼びかけ

 町田市の障害者の親たちで組織する団体「町田サファイア・クラブ」(田中洋子代表)は、知的障害者がパニックになったりした時の対処の仕方をまとめたチラシ1000枚を作った。佐賀県で昨年9月、自転車で蛇行走行していた知的障害を持つ25歳の男性が、警察官に取り押さえられた後、急死した事件がきっかけ。田中代表は「佐賀の悲劇を繰り返さないために、障害者への理解を深めてもらおうと思った」と語り、同市内の商店などに掲示を呼びかけている。

 同クラブによると、知的障害者が挙動不審者として、警察官から職務質問を受けたり、電車の中でカギ束が女性の洋服に引っかかり外そうとして痴漢に間違われたりするケースがある。

 商店からは、「商品をいじって困る」「店頭に座り込んで動かない」「激高した時、どうしていいかわからない」などの苦情が聞こえてくる。こうした時を想定して作成したのが今回のチラシ「SOSボード」。

 チラシはA4判で、ポイントを四つに絞った。まず、言葉をかける時は、「走ってはだめ」といった抑えつける言葉は避け、「歩きましょう」と肯定的な態度で接する。2番目は、穏やかな口調、短い言葉で話す。3番目は、パニックを起こしている時は、静かな場所に移動させ、落ち着かせる。最後は、触れられることが苦手な人もいるので注意するという内容だ。

 支援の輪は広がりつつある。町田署では、チラシをもとに、知的・精神障害者対応要領を作り、署員に徹底した。

 また、町田市商店会連合会(35団体、計1255事業者加盟)の太田忠事務局長も「住みよい町をつくる地域貢献の一環として、チラシの店内掲示を会員にお願いしている」と話す。

 町田サファイア・クラブは、町田市内の障害者作業所に通う親たちの横のつながりを目的に、昨年11月に結成された。会員は17人。チラシの問い合わせは田中代表((電)080・5527・6331)へ。