ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

結城 博康 著 『介護――現場からの検証――』

2009年02月02日 01時19分39秒 | 障害者の自立
 この本は副題にもあるとおり介護の現場に関わっている人たちからの現時点での検証である。高齢者介護の介護保険制度は2000年度に保険方式で始まった。障害者については2006年度から障害者自立支援法が始まった。新自由主義政策のもとで、反対論も強く介護現場としても困難な現状にある。著者の紹介として、現在は研究者であるが、地域包括支援センターでケアマネジャーとして勤務していた。しかも、大学に勤務する傍ら非常勤のケアマネジャーとして仕事をされている。

■ 介護現場の崩壊について強い危機感を抱いている
 最後の終章「現場へ歩み寄るための道筋」の最後の部分において、結城さんは「介護現場の崩壊を食い止めるには、一人ひとりの介護に対する意識が問われているのである」と危機感を募らせている。それはすぐ前の「介護や医療現場が崩壊寸前とマスコミで報道されているが、それを最終的に解決するのは『政治家』『役人』『介護従事者』といった専門家ではなく、住民自身である」と書いていることに照応する。ここで「住民」「一人ひとり」と強調されているのは、住民参画によって政治を変革しようと言う意図があると受け止めた。

 結城さんも「仮に、この機会に抜本的な制度見直しが実現せず、従来のように『給付費抑制』『財政優先』といった考え方を踏まえた制度再改正に終われば、介護現場の崩壊は決定的となるかもしれない」と書いている。その意味では、結城さんも介護現場の崩壊という危機感は共有されていると見る。とくに、2005年介護保険法改訂(2005年度部分実施、2006年度実施)による影響が強いと判断されているようだ。

■ 介護保険法による「介護予防」強調への違和感
 2005年度の介護保険法改訂で国から強調された介護予防について取りあげている章で、厚生労働省の目論見を批判的に書いていらっしゃる。要支援以前の状態で「特定高齢者」を選び出して予防訓練を行なうことに対しても、具体的に仙台市を例にとって基準はゆるやかになったがいまだに「該当者を見つけることに苦慮している」と指摘している。私も該当者ゼロの自治体があるときいたことがある。

 地域包括支援センターが行なう介護予防ケアマネジメントについても、その「仕事量が膨大となれば、このような業務はどうしても疎かになる」と記されている。地域包括支援センター業務には「介護予防ケアマネジメント」だけではなく「高齢者の総合相談窓口」「高齢者虐待の相談・調整」「地域のネットワークづくり」なども、重要な役割と期待されている。それをもっぱら、現実に介護予防ケアマネジメントだけに絞ったとしても、人手不足の状態であれば、介護予防ケアマネジメントも十分にできない。とくに「高齢者虐待」に関しては、高齢者虐待防止法が制定され、施設でも在宅でも重要な役割となっているのであるが、地域包括支援センターが有効に機能したとは思えない。

 新制度によってたしかに利用者が減少した結果はある。しかし、結城さんも「利用制限につながったことが大きい」と考えている。そもそも「社会保険は被保険者のリスクに対して機能していくもので、『介護予防』といったサービスが本格的に社会保険制度内で展開されると、『保険原理』に馴染まなくなる。基本的には『予防』を中心としたサービスは公費で賄われ、公的機関が主体となって実施されるのでなければ、その効果は期待できないと筆者は考える」と、私も同意する意見を述べている。これまで予防がそれなりに行なわれていたが、介護保険法の改訂による新制度で、介護予防がずたずたにされたという嘆きの声が、いくつかの自治体担当者からは話されることが多い。

■ 消費税の引き上げによる財源確保への意見
 介護保険料の引き上げや公費財源の投入はできないので、財源が制約されている。そこで、介護保険の利用者を制限せざるをえないという声もある。それに対する増税意見は、消費税の引き上げによるという見方が主流である。

 結城さんは社会保障の全てを消費税の引き上げで賄うという意見とは、違う。基礎年金の国庫負担率を1/3から1/2に引き上げるためにも消費税の引き上げが、取りざたされている。

 基礎年金については、消費税以外の歳出削減と税制改革で財源を見出すべきだと、結城さんは主張する。消費税の引き上げを求めるとすれば、医療・介護という現物給付に特化すべきだと、結城さんは主張する。ただ、企業など雇用主が現役世代の保険料の1/2以上を分担するから、保険料を消費税にすると企業の負担を軽くする結果になる。はたしてそれでよいのだろうか?

 このほか、障害者への介護についても1章を設けている。結城さんは、現場での仕事から高齢者介護と障害者介護とは異なるものであるとされる。その立場から二つを統合することは制度論・財政論からは考えられるとしても、現場に即して考えればより慎重であるべきだとの主張をされている。


聴覚障害者のための裁判員講座「ろう者と裁判員」開催/川崎

2009年02月02日 01時16分00秒 | 障害者の自立
 五月の裁判員制度導入を控え、聴覚障害者が裁判員に選ばれたらどうすればよいのかを学ぶ第四回聴覚障害者福祉講座「ろう者と裁判員」が一日、川崎市中原区今井南町、市生涯学習プラザで開かれた。特定非営利活動法人(NPO法人)「川崎市ろう者協会」(小海秀純理事長)の主催。

 講座では、同市在住で聴覚障害のある田門浩弁護士が講師を務め、プレゼンテーションソフトと手話を使って裁判員制度の概要を解説。約百十人の参加者は、手話通訳や要約筆記を目で追いながら、熱心にメモを取るなどしていた。

 また、田門弁護士は聴覚障害者が裁判員に選ばれた際の注意事項について「裁判では手話通訳が入るだろうが、通訳を通すことでタイミングがずれてしまう。聴覚障害者が発言する機会がどれだけ確保できるかは裁判官にかかっている」などと説明。会場からは「手話通訳は裁判所側が用意してくれるのか」「どんな障害者も選ばれるのか」などの質問が出た。

 同市幸区古市場の会社員、大根田和美さん(34)は「きちんと専門用語などを理解できるように手話通訳がされるかどうかが心配」と話していた。

世界障害者絵画展:口と足で描く美50点--佐賀 /佐賀

2009年02月02日 01時14分21秒 | 障害者の自立
 障害がある国内外の画家が口や足で描いた作品を展示する「世界障害者絵画展」が、佐賀市大和町のイオンショッピングタウン大和店で開かれている。1日午後6時まで。入場無料。

 三菱電機ビルテクノサービスの主催。同社は障害者の自立支援として「口と足で描く芸術家協会」から購入した作品を所蔵し、92年から毎年、全国で巡回展を開いている。県内開催は初めて。

 会員43人の作品50点を展示。来場者は、風景や静物、動植物など、小品から大作まで一筆一筆丹精込めて描いた作品に見入っていた。各作品には画家の写真とプロフィルが添えられている。

 同社は「素晴らしい作品ばかり。ぜひ見に来てもらいたい」と呼び掛けている

お出かけマップIN足利:改訂版が完成 障害者向け飲食店情報を拡大 /栃木

2009年02月02日 01時13分17秒 | 障害者の自立
◇バリアフリー状況調査、医療機関など257カ所
 足利市在住の障害者が街を歩き、バリアフリーの状況を調査し編集した「お出かけマップIN足利」の改訂版が完成した。飲食店や大型商業施設計125カ所、医療機関や公共施設、公衆トイレ計132カ所の情報をイラストなどを使い分かりやすく掲載している。

 マップはA4判、44ページで計1000部を作製した。障害者らのグループ「足利黄色いハンカチの会」と、社会福祉法人などが運営する「足利障害者相談支援センター」が協力して、街中を歩いたり医療機関へアンケートを実施したりして調査した。

 改訂版では、要望の多かった飲食店に関する情報を市内全域に拡大。車いすのためのスロープや自動ドアの有無、介助犬同伴の可否などを掲載している。

 さらに、市医師会などの協力で医療機関51施設については、障害者用のトイレ・駐車場や、車いすの貸し出し、出入り口の段差の有無など14項目を盛り込んだ。また、往診と訪問看護の状況も表示している。

 同支援センターの担当者は「障害者だけでなく、乳幼児のいる保護者やお年寄りにも役立ててほしい」と期待している。

 マップは、市内公民館や市生涯学習センターでも閲覧できる。希望者には200円の募金で配布(郵送は500円)。問い合わせは同支援センター(電話0284・44・0307)。


障害者雇用にも不況風 就職、08年秋から悪化

2009年02月02日 01時11分17秒 | 障害者の自立
 景気後退による雇用環境の悪化の影響が障害者にも及んでいる。一定割合の障害者の雇用は企業の義務だが、昨年秋以降は就職件数が減り始め、解雇も急増中といい、厚生労働省は警戒を強めている。

 障害者雇用促進法は従業員56人以上の民間企業に法定雇用率1.8%以上の障害者を雇うことを義務化。厚労省によると、ハローワークを通じた障害者の就職件数は近年、年10%ペースで増加を続け、昨年度には年間4万5565人に達した。だが昨年度後半から伸びの鈍化が始まり、昨年4―9月は前年同期比0.7%の減少に転じた。