福祉サービスを利用した障害者に「原則1割」の自己負担を課す障害者自立支援法は、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、全国の障害者が国や自治体に負担の取り消しなどを求めている集団訴訟で1日、大阪府内の28~71歳の障害者6人が新たに大阪地裁に訴えを起こした。この日は、ほかにも各地の障害者22人が京都や神戸など9地裁に提訴する予定で、昨年10月の1次提訴とあわせて原告は12地裁で58人となる。
06年施行の同法は、これまで身体、知的、精神の各障害者によって異なっていた福祉サービスを一元化しつつ、1割の自己負担制を導入した。国側は訴訟で「平等権の侵害はない」と争う姿勢を示してきた。一方で、政府は3月31日、同法の施行3年後の見直し規定により、以前と同様に「所得(支払い能力)に応じた負担」に戻す改正案を閣議決定している。
◇
提訴後、大阪訴訟の原告6人と弁護団が記者会見に臨んだ。
原告の1人、大阪市西淀川区の栂(とが)紀久代(きくよ)さん(56)は80年、鳥取県内で交通事故に遭い、脳から髄液が漏れ出す「脳脊髄(せきずい)液減少症」を発症。激しい頭痛と耳鳴り、めまいが続く。01年から車いす生活。5年前に退職した夫章夫さん(56)が介護する。
栂さんの主な収入源は年間100万円に満たない障害基礎年金。07年末に生活費の足しにしようと株を売却した。収入が増えたため、それまで月3千円足らずだった重度訪問介護などの利用料は、今年2月から月約9千円になった。「苦しい家計を補うために株を現金にしただけなのに、負担が増えるのはおかしい」
06年、NPO法人サン・クラブを設立し、患者と家族の支援に取り組む。栂さんは会見で「私たちは立って歩いている人と同じ人間。モノではない。負の遺産を後世に引き継ぎたくない」と話した。(
06年施行の同法は、これまで身体、知的、精神の各障害者によって異なっていた福祉サービスを一元化しつつ、1割の自己負担制を導入した。国側は訴訟で「平等権の侵害はない」と争う姿勢を示してきた。一方で、政府は3月31日、同法の施行3年後の見直し規定により、以前と同様に「所得(支払い能力)に応じた負担」に戻す改正案を閣議決定している。
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提訴後、大阪訴訟の原告6人と弁護団が記者会見に臨んだ。
原告の1人、大阪市西淀川区の栂(とが)紀久代(きくよ)さん(56)は80年、鳥取県内で交通事故に遭い、脳から髄液が漏れ出す「脳脊髄(せきずい)液減少症」を発症。激しい頭痛と耳鳴り、めまいが続く。01年から車いす生活。5年前に退職した夫章夫さん(56)が介護する。
栂さんの主な収入源は年間100万円に満たない障害基礎年金。07年末に生活費の足しにしようと株を売却した。収入が増えたため、それまで月3千円足らずだった重度訪問介護などの利用料は、今年2月から月約9千円になった。「苦しい家計を補うために株を現金にしただけなのに、負担が増えるのはおかしい」
06年、NPO法人サン・クラブを設立し、患者と家族の支援に取り組む。栂さんは会見で「私たちは立って歩いている人と同じ人間。モノではない。負の遺産を後世に引き継ぎたくない」と話した。(