障害者団体名で発行される刊行物に通販会社などのダイレクトメール(DM)広告を掲載し、格安の低料第3種郵便で顧客に届けていた疑いで、大阪市の広告代理店「新生企業」(現・伸正)社長ら10人が大阪地検特捜部に逮捕された。違法DM約210万通を郵送し、正規料金との差額約2億4000万円を不正に免れた疑いが持たれている。同社長らは3月にも計約690万通の違法DMを郵送し、計約9億1000万円を免れたとして起訴されている。
公共性の高い郵便物の料金を安くすることは郵便法で定められている。第3種は新聞や雑誌などの定期刊行物で、特に障害者団体が月3回以上発行し50グラム以下の場合、1通8円(通常料金は定型で80円)で郵送することができる。
この制度に目を付けた悪用例は少なくない。日本郵便(郵便事業会社)によると昨年10月までに制度の承認を受けた216件のうち21件で悪用が確認されたという。判明した障害者団体(19団体)に49億円、民間企業(4社)に30億円を請求すると発表したのは当然だ。
しかし、新生企業による違法DMの発送窓口となった日本郵便の東京都内2支店では、担当者が内容物に虚偽がないかマニュアルに従って検査していたのか疑問が持たれている。短期間で違法DMが不自然なほど急増したのにどうして見抜けなかったのか。「被害者」であるはずの日本郵便の対応は不可解だ。
ほかにも疑問はある。同社に名義を貸していた障害者団体はどうなっているのか。その障害者団体から民主党の牧義夫衆院議員(51)が献金を受け、国会で同社に有利な質問をしたのはなぜか。捜査当局には徹底した真相解明を期待したい。
割引郵便制度は郵政民営化に伴って廃止が検討されたが、多くの障害者団体の反対で存続した。
ある障害者団体は機関誌を全国の会員に毎月4万部余郵送している。通常は1部140円だが、低料第3種郵便で1部20円だ。収入は障害基礎年金だけ、施設での賃金も1万円に満たない障害者は多い。機関誌の作成や発送はその障害者や家族からの会費で賄われている。制度が廃止されたら郵送料だけで年間6000万円の赤字になる。高齢の家族の中には年金暮らしで、電子メールなどにも縁がない人が多い。障害者や家族にとって不可欠な情報伝達手段なのだ。
この事件の真の被害者は全国の障害者と国民である。障害者の自立や社会参加のために各種利用料や税の優遇制度があり、優遇した分は国民全体が間接的に少しずつ負担することで成り立っている。その信頼を揺るがせる不正を許してはならない。
公共性の高い郵便物の料金を安くすることは郵便法で定められている。第3種は新聞や雑誌などの定期刊行物で、特に障害者団体が月3回以上発行し50グラム以下の場合、1通8円(通常料金は定型で80円)で郵送することができる。
この制度に目を付けた悪用例は少なくない。日本郵便(郵便事業会社)によると昨年10月までに制度の承認を受けた216件のうち21件で悪用が確認されたという。判明した障害者団体(19団体)に49億円、民間企業(4社)に30億円を請求すると発表したのは当然だ。
しかし、新生企業による違法DMの発送窓口となった日本郵便の東京都内2支店では、担当者が内容物に虚偽がないかマニュアルに従って検査していたのか疑問が持たれている。短期間で違法DMが不自然なほど急増したのにどうして見抜けなかったのか。「被害者」であるはずの日本郵便の対応は不可解だ。
ほかにも疑問はある。同社に名義を貸していた障害者団体はどうなっているのか。その障害者団体から民主党の牧義夫衆院議員(51)が献金を受け、国会で同社に有利な質問をしたのはなぜか。捜査当局には徹底した真相解明を期待したい。
割引郵便制度は郵政民営化に伴って廃止が検討されたが、多くの障害者団体の反対で存続した。
ある障害者団体は機関誌を全国の会員に毎月4万部余郵送している。通常は1部140円だが、低料第3種郵便で1部20円だ。収入は障害基礎年金だけ、施設での賃金も1万円に満たない障害者は多い。機関誌の作成や発送はその障害者や家族からの会費で賄われている。制度が廃止されたら郵送料だけで年間6000万円の赤字になる。高齢の家族の中には年金暮らしで、電子メールなどにも縁がない人が多い。障害者や家族にとって不可欠な情報伝達手段なのだ。
この事件の真の被害者は全国の障害者と国民である。障害者の自立や社会参加のために各種利用料や税の優遇制度があり、優遇した分は国民全体が間接的に少しずつ負担することで成り立っている。その信頼を揺るがせる不正を許してはならない。