自治体の行政文書などで「障害」や「障害者」としてきた表記を、「障がい」「障がい者」などと平仮名交じりに改める動きが、県内で広がりつつある。変更には、負のイメージを持つ「害」の漢字への抵抗感を和らげる狙いがある。
◇
「障害者」の表記は1949年の身体障害者福祉法の制定から広まったとされる。
長く漢字表記を使ってきた滝沢村はこの4月から、住民への通知文書やパンフレット、チラシなどで、表記を「障がい」「障がい者」に改めた。
村福祉課の熊谷満課長は「害の字は、妨げや災いといった否定的な意味を含む。村内の障害者団体からも意見があり、人権に配慮して変更した」と説明する。
県も08年度から、行政文書で使われる「身体障害者」などの表記を「身体障がい者」「身体障がいのある人」などと変更。「障害保健福祉課」の組織名称も「障がい保健福祉課」と改めた。盛岡市でも08年9月から、平仮名交じり表記を採っている。
ただ、表記変更が障害者を取り巻く環境の向上に結びつくかは未知数だ。
滝沢村で精神障害者の生活訓練施設を運営する男性(34)は「字面を変えれば差別や偏見がなくなるかと言えば、疑問だ」。別の福祉関係者も「話し言葉でショウガイシャと言ってしまえば音は同じ。ほかに適切な言い換えも見つからない」と語る。
身体障害者の福祉に関する調査、啓発などにあたる県身体障害者福祉協会(盛岡市)では、文書類の表記を基本的に「障がい者」としている。
同協会の長谷川忠久会長は「平仮名表記はイメージ上、一定のプラスはある」と見るが、「障害者という概念そのものを根本的に見つめ直す必要がある」とも指摘。
「体に関して言えば、人は加齢で体力が低下し、いずれは世話を受けなければならなくなる。障害は特殊なものでなく、誰でも持ち得る。表記の問題から議論を広げることで、障害に対する社会の認識が深まれば」と、今後の議論の広がりに期待している。
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「障害者」の表記は1949年の身体障害者福祉法の制定から広まったとされる。
長く漢字表記を使ってきた滝沢村はこの4月から、住民への通知文書やパンフレット、チラシなどで、表記を「障がい」「障がい者」に改めた。
村福祉課の熊谷満課長は「害の字は、妨げや災いといった否定的な意味を含む。村内の障害者団体からも意見があり、人権に配慮して変更した」と説明する。
県も08年度から、行政文書で使われる「身体障害者」などの表記を「身体障がい者」「身体障がいのある人」などと変更。「障害保健福祉課」の組織名称も「障がい保健福祉課」と改めた。盛岡市でも08年9月から、平仮名交じり表記を採っている。
ただ、表記変更が障害者を取り巻く環境の向上に結びつくかは未知数だ。
滝沢村で精神障害者の生活訓練施設を運営する男性(34)は「字面を変えれば差別や偏見がなくなるかと言えば、疑問だ」。別の福祉関係者も「話し言葉でショウガイシャと言ってしまえば音は同じ。ほかに適切な言い換えも見つからない」と語る。
身体障害者の福祉に関する調査、啓発などにあたる県身体障害者福祉協会(盛岡市)では、文書類の表記を基本的に「障がい者」としている。
同協会の長谷川忠久会長は「平仮名表記はイメージ上、一定のプラスはある」と見るが、「障害者という概念そのものを根本的に見つめ直す必要がある」とも指摘。
「体に関して言えば、人は加齢で体力が低下し、いずれは世話を受けなければならなくなる。障害は特殊なものでなく、誰でも持ち得る。表記の問題から議論を広げることで、障害に対する社会の認識が深まれば」と、今後の議論の広がりに期待している。