高い所にある障害物でも超音波センサーで認識できる視覚障害者向けの「電子白杖(はくじょう)」を、秋田県立大の岡安光博准教授(39)が開発した。これまで電子白杖は外国産ばかりで、国産は初めて。コストダウンにも成功し、半導体の製造装置などを手がける「秋田精工」(同県由利本荘市)が4月から外国産のほぼ半額以下で販売を予定している。歩行体験をした人は「こんなものができるとは夢にも思っていなかった」と話しており、関係者は大きな期待を寄せる。
通常の白杖を使う視覚障害者は地面の部分にある障害物しか把握できないことが多く、高い所にある障害物に体をぶつけることも多い。
岡安准教授が開発した電子白杖は、つえを持つグリップの下部に前方と上方の障害物を感知する二つの超音波センサーが取り付けられている。前方に障害物を感知した時はグリップ部分、上方に感知した時はリストバンドが振動し、視覚障害者に伝える仕組みで、約1.5メートル先にある頭の高さの障害物まで感知できる。通常の白杖とほぼ同じ約300グラムまで軽量化することにも成功した。
岡安准教授によると、電子白杖はイギリスやドイツ、韓国などで製造されているが、一番安いものでも約8万5000円する。これに対し新製品は二つのセンサー付きが4万3000円、前方は従来通りつえで確認し、上部センサーだけが付いているタイプは3万円程度の価格を予定している。
◇99%が「使いたい」 岡安准教授は昨年5月、秋田市で開かれた全国盲人福祉大会に参加した視覚障害者約100人に、電子白杖を使って障害物のある25メートルのコースを歩いてもらった。意見を聞いた結果、99%が「使いたい」と回答。一方で値段を抑えてほしいという要望も多く、改良やコストダウンの取り組みを重ねてきた。
岡安准教授の研究に協力してきた秋田県視覚障害者福祉協会の煙山貢会長(68)は「車のサイドミラーや看板などにぶつかってけがをすることがあった。電子白杖なら身を守ることができる」と話している。
毎日新聞
通常の白杖を使う視覚障害者は地面の部分にある障害物しか把握できないことが多く、高い所にある障害物に体をぶつけることも多い。
岡安准教授が開発した電子白杖は、つえを持つグリップの下部に前方と上方の障害物を感知する二つの超音波センサーが取り付けられている。前方に障害物を感知した時はグリップ部分、上方に感知した時はリストバンドが振動し、視覚障害者に伝える仕組みで、約1.5メートル先にある頭の高さの障害物まで感知できる。通常の白杖とほぼ同じ約300グラムまで軽量化することにも成功した。
岡安准教授によると、電子白杖はイギリスやドイツ、韓国などで製造されているが、一番安いものでも約8万5000円する。これに対し新製品は二つのセンサー付きが4万3000円、前方は従来通りつえで確認し、上部センサーだけが付いているタイプは3万円程度の価格を予定している。
◇99%が「使いたい」 岡安准教授は昨年5月、秋田市で開かれた全国盲人福祉大会に参加した視覚障害者約100人に、電子白杖を使って障害物のある25メートルのコースを歩いてもらった。意見を聞いた結果、99%が「使いたい」と回答。一方で値段を抑えてほしいという要望も多く、改良やコストダウンの取り組みを重ねてきた。
岡安准教授の研究に協力してきた秋田県視覚障害者福祉協会の煙山貢会長(68)は「車のサイドミラーや看板などにぶつかってけがをすることがあった。電子白杖なら身を守ることができる」と話している。
毎日新聞