学会東海・北陸地方会
「生活の質」で公開講座
日本てんかん学会東海・北陸地方会が十四日、金沢市内のホテルで開かれた。市民公開講座では、静岡てんかん・神経医療センターの久保田英幹診療部長が「てんかん患者の生活の質(QOL)」をテーマに講演し、自動車運転の問題にも触れた。(酒井ゆり)
久保田さんは、てんかん患者について「悩みは家族や主治医などごく限られた人に打ち明ける場合が多く、内向的な傾向にある」と説明した。
また主治医との間であっても、認識にずれが生じていることを例示。「薬の副作用で不調を感じていても、主治医に伝わっていないケースが少なくない」と明かした。
対応策として、患者同士が交流を深めながら病気への正しい理解を促す専用教育プログラムがあることを紹介。「理解が深まるだけで生活の質が上がり、発作の頻度も減ることがある」と報告した。
自動車運転の問題では、二〇一〇年に発生した全国の交通事故約七十二万五千件のうち、てんかん発作が原因の事故は七十一件で、脳血管障害と心臓まひを合わせた数と、ほぼ同じと説明した。
また身体障害者と異なり、JRなど公共交通機関によっては運賃の割引が受けられないことにも触れ「自動車に乗らざるを得ない状況をつくっている。道交法の規制強化だけでなく、さまざまな角度からの支援が必要」と強調した。
市民公開講座には約百四十人が参加。その一人、日本てんかん協会理事(北越ブロック担当)で富山県支部の平井隆代表(61)は「北陸三県の患者は二万七千人ほどいるとみられるが、専門医は五人しかいない。高度な治療が受けられる医療機関も少ないため、困っている人は多い」と漏らす。
北陸三県の同協会支部はこの日会合を開き、各県知事に対して、専門医を増やすよう求める要望書を九月か十月に提出すると決めた。
中日新聞 - 2012年7月15日
「生活の質」で公開講座
日本てんかん学会東海・北陸地方会が十四日、金沢市内のホテルで開かれた。市民公開講座では、静岡てんかん・神経医療センターの久保田英幹診療部長が「てんかん患者の生活の質(QOL)」をテーマに講演し、自動車運転の問題にも触れた。(酒井ゆり)
久保田さんは、てんかん患者について「悩みは家族や主治医などごく限られた人に打ち明ける場合が多く、内向的な傾向にある」と説明した。
また主治医との間であっても、認識にずれが生じていることを例示。「薬の副作用で不調を感じていても、主治医に伝わっていないケースが少なくない」と明かした。
対応策として、患者同士が交流を深めながら病気への正しい理解を促す専用教育プログラムがあることを紹介。「理解が深まるだけで生活の質が上がり、発作の頻度も減ることがある」と報告した。
自動車運転の問題では、二〇一〇年に発生した全国の交通事故約七十二万五千件のうち、てんかん発作が原因の事故は七十一件で、脳血管障害と心臓まひを合わせた数と、ほぼ同じと説明した。
また身体障害者と異なり、JRなど公共交通機関によっては運賃の割引が受けられないことにも触れ「自動車に乗らざるを得ない状況をつくっている。道交法の規制強化だけでなく、さまざまな角度からの支援が必要」と強調した。
市民公開講座には約百四十人が参加。その一人、日本てんかん協会理事(北越ブロック担当)で富山県支部の平井隆代表(61)は「北陸三県の患者は二万七千人ほどいるとみられるが、専門医は五人しかいない。高度な治療が受けられる医療機関も少ないため、困っている人は多い」と漏らす。
北陸三県の同協会支部はこの日会合を開き、各県知事に対して、専門医を増やすよう求める要望書を九月か十月に提出すると決めた。
中日新聞 - 2012年7月15日