懐かしい人たちとお会いできました。宝塚市のコンピュータープログラマー、木村佳友さんと介助犬エルモ、そして神戸大学大学院保健学研究科の三浦靖史准教授です。6月30日に神戸大医学部神緑会館で開かれた「第4回兵庫補助犬研究会」を訪れました。
今年は身体障害者補助犬法制定10周年で、本紙もいろいろなページで紹介していますが、ここでおさらいです。補助犬は3種類からなります。よく知られているのは「盲導犬」で、視覚障害者の歩行などをサポート。全国で1043頭が活躍しています。次に手や足が不自由な人の日常生活をサポートしているのが「介助犬」。エルモなど59頭が働いています。そして聴覚障害者の日常生活を支えるために必要な音の情報を伝えているのが「聴導犬」で38頭います。
こうした補助犬は、障害を持つ人たちにとってはなくてはならない存在です。このため、02年からこの法律が施行され、全国のすべての公立施設や公共交通機関をはじめ、不特定多数の人が訪れる民間施設でも、補助犬使用の受け入れが義務づけられたのです。
しかし、いまだ理解されない場面もあります。そこでリハビリテーションや医療、福祉の現場で活躍する人たちの間で、補助犬についての情報を共有しあい、補助犬の社会的認知と普及を促進しようと設立されたのが、三浦先生らの兵庫補助犬研究会でした。ちょうど私が阪神支局長だった09年7月に第1回会合を開催。「継続は力なり」で、その後もずっと続いていることを本当にうれしく思いました。
そもそも、この法律ができたきっかけになったのが木村さんです。1998年から当時の阪神支局の仲間たちが、木村さんと先代の介助犬シンシアとともに、法律づくりに奔走したのです。
今年の研究会では、介助犬によるデモンストレーションが行われました。落とした物を拾う、どこに置いたか忘れた携帯電話を探す、冷蔵庫を開け閉めして飲み物を持ってくる−−。
犬たちは特別な訓練を受け、厳しい審査を受けていますから、むやみにほえたり、ウロウロするようなことはありません。静かに「待機」しているのも重要な「仕事」だからです。
今年は10月に宝塚市で日本身体障害者補助犬学会が開かれます。「身体障害者補助犬法 次の10年に向けての提言」。市民向けの公開講座もあり、今から楽しみです。 【神戸支局長・渋谷卓司】
毎日新聞 2012年07月17日 地方版
今年は身体障害者補助犬法制定10周年で、本紙もいろいろなページで紹介していますが、ここでおさらいです。補助犬は3種類からなります。よく知られているのは「盲導犬」で、視覚障害者の歩行などをサポート。全国で1043頭が活躍しています。次に手や足が不自由な人の日常生活をサポートしているのが「介助犬」。エルモなど59頭が働いています。そして聴覚障害者の日常生活を支えるために必要な音の情報を伝えているのが「聴導犬」で38頭います。
こうした補助犬は、障害を持つ人たちにとってはなくてはならない存在です。このため、02年からこの法律が施行され、全国のすべての公立施設や公共交通機関をはじめ、不特定多数の人が訪れる民間施設でも、補助犬使用の受け入れが義務づけられたのです。
しかし、いまだ理解されない場面もあります。そこでリハビリテーションや医療、福祉の現場で活躍する人たちの間で、補助犬についての情報を共有しあい、補助犬の社会的認知と普及を促進しようと設立されたのが、三浦先生らの兵庫補助犬研究会でした。ちょうど私が阪神支局長だった09年7月に第1回会合を開催。「継続は力なり」で、その後もずっと続いていることを本当にうれしく思いました。
そもそも、この法律ができたきっかけになったのが木村さんです。1998年から当時の阪神支局の仲間たちが、木村さんと先代の介助犬シンシアとともに、法律づくりに奔走したのです。
今年の研究会では、介助犬によるデモンストレーションが行われました。落とした物を拾う、どこに置いたか忘れた携帯電話を探す、冷蔵庫を開け閉めして飲み物を持ってくる−−。
犬たちは特別な訓練を受け、厳しい審査を受けていますから、むやみにほえたり、ウロウロするようなことはありません。静かに「待機」しているのも重要な「仕事」だからです。
今年は10月に宝塚市で日本身体障害者補助犬学会が開かれます。「身体障害者補助犬法 次の10年に向けての提言」。市民向けの公開講座もあり、今から楽しみです。 【神戸支局長・渋谷卓司】
毎日新聞 2012年07月17日 地方版