ゴエモンのつぶやき

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人工呼吸器装着した人々の日常生活 生きる権利描写 渋谷で9日から

2016年07月03日 15時53分24秒 | 障害者の自立

 人工呼吸器を使用しながら生活している人たちを追いかけたドキュメンタリー映画「風は生きよという」の上映が9日から、渋谷区の映画館で始まる。「人生の終末期」を迎えたと見られがちな呼吸器を装着した人々が、散歩や食事会をしたり学校に通ったりして、地域で普通に暮らす様子を描写。昨年6月の完成以来、全国約50カ所で自主上映される反響を呼び、劇場公開が実現した。

 障害者の自立生活を支援する「全国自立生活センター協議会」が企画、製作した。監督は福祉施設の勤務経験がある宍戸大裕さん(34)。進行性の難病「筋ジストロフィー」を抱えて都内で暮らす男性や、全身が徐々に動かなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を患う北海道在住の男性など、人工呼吸器の使用者に密着取材。約1年3カ月間の撮影をまとめた。

 「呼吸器は呼吸を助ける道具です」。作品はそんなナレーションと、呼吸器の「シュー」という音で始まる。呼吸器が送る空気を「風」と表現。「呼吸器を付けて暮らす人たちが暮らすありのままを伝えたかった」。宍戸監督はそう話す。

 作品に登場する海老原宏美さん(39)は東大和市で1人暮らし。1歳半のころに難病「脊髄(せきずい)性筋萎縮症」と診断され、約15年前に人工呼吸器をつけ、現在は障害者を支援する「自立生活センター東大和」の理事長を務めている。作品には、海老原さんの指示で介護者が料理を作ったり、散歩して通りすがりの子どもたちとふれあったりする「日常」が描かれる。

 製作の背景には、一部の国会議員や市民団体による、延命治療の中止などを定めた「尊厳死法制化」を目指す動きがある。「2人以上の医師の判断の一致で終末期と判定」「患者が書面で意思表示」などの条件を満たした場合、延命治療の中止ができるといった内容も議論されている。

 治療が難しい難病患者にとっては人ごとではない。海老原さんは「診断時、私は『3歳までに死ぬ』と診断されたけど、10倍以上生きている。特定の医師の判断で『終末期』を判断するのは危うい」と指摘。「尊厳死自体を否定するわけではないが、法律で決めてしまうと、立場が弱くなりがちな障害者や難病患者は、死ぬ選択に進む恐れが高い。死ぬ権利よりも生きる権利を守るため、呼吸器をつけながら地域で暮らす私たちの姿を知ってほしい」と話している。

 渋谷区宇田川町の渋谷アップリンクで上映。海老原さんや宍戸監督らのトークショーも予定している。

 問い合わせは上映実行委員会(042・660・7747)。

毎日新聞  2016年7月2日 地方版


県循環器センター移管 利用者「遠くなる」

2016年07月03日 15時49分27秒 | 障害者の自立

 宮城県循環器・呼吸器病センター(栗原市瀬峰)について県は1日、市栗原中央病院(同市築館)への機能移管を検討していることを正式に表明した。地元の患者からは移管した場合のケアを徹底するよう求める声が相次いだほか、住民の中には交流人口の減少による地域への影響を不安視する人もいた。
 センターはJR瀬峰駅から徒歩圏内にあり、登米市から東北線で通う患者が多い。同市迫町の70代女性は「車がなくても通えるので便利だった。栗原中央病院は遠いし、今後どこに行けばいいのか…」と困惑した様子で話した。
 同地区から通院する千葉富美子さん(70)も「東日本大震災で停電した際、センターがあったから治療を続けられた」と振り返り、「災害時に患者が漂流しないか不安だ」と述べた。
 「赤字経営とは聞いていた。『ついにこの日が来た』という印象」と話すのは、瀬峰地区行政区長会の大黒昭夫会長(73)。「移管した場合の交通網を整備し、患者が困らないようにしてほしい」と語った。
 病院近くの瀬峰下田行政区の後藤哲弘区長(69)は「県立の医療機関は町の核。地域への影響は大きい」と指摘。施設の利活用の在り方について「瀬峰のランドマークになるような付加価値のあるものにしてほしい」と注文を付けた。
 佐藤勇市長は1日の定例記者会見で「重い内容と受け止めている。県には地元や利用者への説明をしっかり果たすよう求めていく」と強調した。

◎県、理解求める/県議会常任委

 宮城県は1日開かれた県議会保健福祉常任委員会で、栗原市にある県循環器・呼吸器病センターの診療機能と結核病棟を、市栗原中央病院に移管する方向で検討していることを報告した。
 渡辺達美保健福祉部長が概要を説明。大崎市民病院の移転開院でセンターが担ってきた循環器・呼吸器病医療の中心的役割が市民病院に移ったことや、栗原中央病院の機能強化と県北の医療体制充実を図る移管の目的などに理解を求めた。
 委員からはセンターがある瀬峰地区の住民やセンター勤務者の意見を反映させるよう求める意見や、移管後の結核病棟への県の関与などについて質問が出た。
 渡辺部長は「検討内容は中間報告。今後は住民や勤務者への説明会を開いて意見を聞き、最終報告をまとめる」と強調。結核病棟については「県が責任持って支援する」と語った。
 常任委ではまた、知的障害者施設「船形コロニー」(大和町)の建て替え基本構想も報告。障害福祉課の担当者は「入所施設にとどまらず、民間の障害者施設への情報発信を担うなど県全体の障害福祉拠点を目指す」と説明した。

2016年07月02日     河北新報