視覚障害者にとって、見えることを前提にした書籍や出版物を読むことはそもそも困難だが、コンテンツがアクセス可能な形式で提供されなければ完全に不可能だ。幸いなことに、問題を緩和するための国際的な合意が、今日大きな節目を迎え、年内には発効される運びとなった。
マラケシュ条約は、国連の一部門である世界知的所有権機関(WIPO)が提唱した、国境を越えて知的財産問題を緩和する一連の規則だ。条約は著作権法に例外を設け、点字、オーディオブック、電子書籍等のアクセシビリティー形式による作品の複製を認め、こうした作品の国際流通の制約を緩和する。
障害、ニーズ、利用方法は極めて多岐にわたる。麻痺があったり手を失った人々の要件は、視覚障害者や失読症の人たちとは大きく異なる。
マラケシュ条約は新しいアイデアではない。条約の準備や交渉は10年近く続いた ― 大きな国際合意はあらゆる意味で簡単でないので、それは驚きではない。もちろん、MPAAを始めとする主要な著作権所有団体が反対したことも邪魔をしている ― 例えば、字幕等を制限の対象から外した。
皮肉なことに、米国はこの条約が国際化を進める著作権制限を既に実施している、数少ない幸運な国の一つだ ― そして多くの組織が積極的に推進している。実際、つい昨日(米国時間6/30)、HathiTrust(大学図書館書籍アーカイブ事業)と全米視覚障害者連合は、視覚障害者および読書に不自由のある人々のために1400万冊以上の書籍をオンラインで公開すると発表した。
反対はあるものの、事態は良い方向へと進んでいる。エクアドルとグアテマラが昨日条約に加盟し、今日カナダが続いたことで、マラケシュの重要な20番目の加盟国となり、条約に「効力を生じ」させた。
2016年7月04日 by Devin Coldewey