道路公社・コレイルの公益サービス(PSO)に補填不足
負債の圧縮を圧迫して料金値上げを誘導する チョン・ヒョンヒ議員「国会で代案を作る」
韓国道路公社とコレイルが実施した脆弱階層交通費割引などの公益サービス(PSO)費用は、政府が補填するよう定められているが、最近5年間で1兆5962億ウォン(1391億円)も補填不足だったことが分かった。政府が法により定められた費用処理を実施せず、ただでさえ負債が深刻な両公共機関の料金値上げを誘導したと指摘される。
10日、国会国土交通委員会所属のチョン・ヒョンヒ議員(共に民主党)が、道路公社とコレイルから受け取った資料によれば、2011~2015年の5年間の両機関が公益サービスに投じた費用は計3兆2238億ウォンで(約2823億円)だったが、政府が補填した金額は1兆6276億ウォン(1425億円)だった。1兆5962億ウォン(1398億円)を補填しなかったことになる。
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韓国道路公社・コレイルの公益サービス(PSO)費用と政府の補填現況(資料:「共に民主党」チョン・ヒョンヒ議員)//ハンギョレ新聞社
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道路公社は政府の政策に則り、障害者、軽自動車、出退勤車両などの通行料について割引サービスを実施し、交通取り締まり車両、救急・救護、消防、国家有功者に対しては通行料を免除している。道路公社は通行料公益サービスで5年間に1兆1441億ウォン(1002億円)を使ったが、政府はまったく補填していなかった。韓国道路公社法が2009年に改正され、公益サービスに対しては政府の補填を受けられるが、事実上法が作動しなかったと言える。国土交通部関係者は「(通行料減免額補填方案を用意するよう)監査院の指摘もあり、政府が支援をしなければならないのはその通り。だが、財政状況が良くないために、通行料補填問題が優先順位から押し出されたようだ」と話した。
コレイルは最近5年間、公益サービスに2兆797億ウォン(約1821億円)を投じたが、政府の補填額は1兆6276億ウォン(78.7%・1425億円)にとどまった。補填不足額は4521億ウォン(396億円)だった。コレイルは高齢者、障害者、国家有功者(貢献者)対する運賃減免、住民の便宜のための僻地赤字路線の維持、大統領専用列車運行などの公益サービスを実施している。国土部関係者は「高齢者や障害者を偽って不正乗車する人々の費用まで政府が支援することはできない。正確に測定することはできないが、ある程度考慮して補填している」と話した。だが、数値で計れない不正乗車分を反映するのは「力の優位を根拠とした政府の恣意的定規の適用」という批判を免れない。
問題は両公共機関が揃って負債が深刻な点にある。昨年基準で、道路公社は負債が27兆ウォン(約2兆4000億円)、コレイルは13兆5千億ウォン(1兆2000億円)。政府が補填しなかった公益サービス費用は、両機関の財政を一層悪化させている。さらに政府は、数年前から公共機関に対して負債圧縮を強く圧迫している。負債負担が大きくなれば、公共機関は料金値上げを選択せざるをえない。実際、道路公社は昨年末に高速道路の通行料を4.7%引き上げた。コレイルも2014年8月から平日料金割引と高速鉄道(KTX)逆方向割引を廃止し、実質的な料金値上げを行った。また、鎮海線(昌原~鎮海)が昨年2月に廃止され、一部の僻地路線では運行本数が減るなど公共性が毀損されている。
チョン・ヒョンヒ議員は「政府が公益サービスの費用を正しく補填しないのは、恩着せがましく経済的弱者の支援を言っておきながら義務は怠る行為」として「経営状況が困難になれば、公共機関は料金値上げを考えざるをえず、結局は政府の怠慢が庶民の負担を増大させる結果につながる」と批判した。
2016.07.11 The Hankyoreh japan