批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。
* * *
新しく本コラムを担当することになった。まずは短く自己紹介させていただきたい。
ぼくはかつて大学で哲学を研究していた。いまは在野の批評家で、大衆文化論や情報社会論の著作がある。小説も書いたことがある。6年まえに出版社を起業し、「ゲンロン」という批評誌を刊行している。リベラルを自認するが、保守と見なされることが多い。現政権には批判的。しかしデモは参加しないし、信じない。
最後の一文の説明から始めたい。ぼくがいまもっとも深刻だと感じているのは、じつは社会の保守化でも排外主義化でもなく、どんどんひどくなる「忘れっぽさ」である。
たとえば相模原障害者施設殺傷事件。わずか半年前の大量殺人事件だが、早くも風化している。1997年の酒鬼薔薇事件や2008年の秋葉原通り魔事件は、数年単位で話題になった。比べると明らかにメディアの構えが違う。かつてメディアの時間はもっとゆっくり進んでいた。ひとつの事件について、月単位年単位の時間をかけて「意味」を解読する余裕が存在していた。いまはだれにもその余裕がない。ニュースはネットで一瞬で拡散し、みなリアルタイムで感想を呟き、そしてすぐ飽きてしまう。犯罪者は異常者で、対策はコストとセキュリティーのバランスで、「意味」なんて役立たないものに頭を悩ませる必要はないというのが、いまの風潮だ。それは日本だけでなく世界全体の風潮でもある。そしてみなテロにすら慣れていく。
けれどそれでいいのか。ぼくが自前で時代錯誤な批評誌を刊行しているのは、そんな危機意識からである。そして同じ理由でデモも信じないのである。ネットのおかげで、何万何十万もの人々がすぐ動員できるようになった。けれど、そんな数はすぐ忘れ去られる。震災後無数のデモが起きた。でも国民はどれだけを覚えているだろうか。
いま必要なのは短期的な動員ではなく、むしろ忘却に抗う力だ。言い換えれば「意味」を探る力である。こう記しているあいだに、トルコとベルリンで新たなテロが起きた。意味の理解がなければ、社会は同じ過ちを繰り返す。本コラムではそんな意味を探り続けたいと思う。
※AERA 2017年1月2-9日合併号
【あと10万円増やす年金術】公的年金というと、老後に受給するものと思っている人が多いだろうが、老後に受給する「老齢年金」のほか、病気やケガで障害者になった場合に受給する「障害年金」や、年金に加入していた人が亡くなった場合に遺族が受給できる「遺族年金」もある。最終回は、「知っておきたい様々な公的年金」をご紹介する。
会社員のような厚生年金保険加入者は、同時に国民年金にも加入しているため、「障害年金」は、国民年金から支給される「障害基礎年金」と、厚生年金から支給される「障害厚生年金」がある。
「障害基礎年金」は、障害等級表の1級と2級に当てはまる障害状態にある場合に支給される。年金額は定額で、1級は97万5125円、2級は78万100円となっている(2016年度)。なお、18歳になった後の年度末(3月31日)までの子供がいる場合は、子供の人数によって加算される。
「障害厚生年金」は、報酬比例、つまり、給与やボーナス等の金額によって異なる。
また、会社員の場合、「遺族年金」は、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から支給される「遺族厚生年金」がある。
「遺族基礎年金」は、妻と子供がいる場合、子供が18歳になった後の年度末までであれば、支給される。「18歳になった後の年度末まで」というのは、一般的には「高校卒業まで」と考えるとわかりやすいだろう。子供がいても、18歳になった後の年度末を過ぎている場合は、支給されない。
夫が亡くなったときは、「遺族基礎年金」の支給対象となる子供がいたが、すべての子供が高校を卒業したような場合、「遺族基礎年金」の支給は打ち切られる。
「遺族基礎年金」は、定額で支給され、対象となる子供の人数によって金額が決まっている。対象となる子供が1人いる妻には、年額100万4600円、2人いる場合は、同122万9100円支給される。3人以上の場合は、子供1人につき7万4800円加算される(16年度)。
「遺族基礎年金」が打ちきりになった後は、会社員の妻の場合、自分の「老齢基礎年金」を受け取ることができる65歳になるまで、厚生年金から「中高齢寡婦加算」が支給される。「中高齢寡婦加算」は、夫が亡くなった時点で「遺族基礎年金」の支給対象となる子供がいない妻の場合、40歳以上であれば支給される。「中高齢寡婦加算」も定額で、年額58万5100円支給される(16年度)。
「遺族厚生年金」の年金額は、報酬比例なので人によって異なり、亡くなった人の「老齢厚生年金」の年金額の4分の3となっている。50歳以上なら、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、「老齢厚生年金」の予定額を知ることができる。
iza(イザ!) (ファイナンシャルプランナー 古鉄恵美子)
「ホーム、自力では上がれない」
もし、視覚障害者が駅のホームから転落した場合、どうすれば助かるのか。千葉県立千葉盲学校(四街道市)の中学部(生徒数約15人)は、ホームや線路を模した施設で駅の構造を学ぶ異例の取り組みをしている。担当教員は「実物に触れて高さや距離の感覚をつかんでおくことが重要」と話す。【野村房代】
2010年、通学中だった目の見えない生徒がJR千葉駅のホームで人波に押され、転落した。ほかの客に助けられ軽傷で済んだが、以前から「駅の構造を知りたい」と望む生徒が多かったこともあり、翌年から「体験会」が始まった。
利用する施設は「鉄建建設」(本社・東京都千代田区)が千葉県成田市に開設した建設技術総合センター。鉄道工事従事者用の研修施設だが、一般見学者も受け入れている。屋外に全長150メートルの線路(複線)と駅舎、踏切があり、ホーム下の待避場所や、線路からホームに上がるステップはJR東日本の首都圏の駅と同じ構造だ。非常停止ボタンを実際に押して音を確かめることもできる。
「映画ではレールの間に伏せて助かるシーンを見かけるが、実際のレールは高さ20センチ程度。助かる可能性はほとんどない」。センター職員の高橋隆さんは転落があった際、周囲の人が速やかに非常停止ボタンを押すことが必要と強調。盲学校の生徒たちにも「落ちたら声を上げて周囲に知らせて」と呼びかける。
千葉盲学校は幼稚部から高等部まであり、自力通学を訓練するようになる中学部を対象に体験会を隔年で開いている。体験会に参加した中学部2年の野村優貴さん(14)は「ホームは思ったより高く、自力では上がれない。以前より注意して電車に乗るようになった」と話す。高等部1年の女子生徒(16)は「待避場所がどこにあるのか分かったのがよかった。でも普段利用するのは無人駅なので、何かあった時が心配」と漏らす。
20年以上前は、学校の最寄り駅で本物の線路に下りて体験したこともあったが、規制が厳しくなるなど現在では不可能だ。滝本和男教諭は「駅の構造は複雑で、言葉だけで教えるには無理がある」と言い、体験訓練の重要性を説く。
過去5年間で卒業生2人が転落事故で亡くなった埼玉県立特別支援学校塙(はなわ)保己一(ほきいち)学園(川越市)でも、西武鉄道西武球場前駅(同県所沢市)にある試合開催時用の臨時ホームで3年に1回、同様の体験学習をしている。盲導犬育成支援などを手がける社会福祉法人・日本ライトハウス(大阪市)によると、盲学校でこうした体験訓練をしている例はこの2校以外に聞いたことがないという。成田のセンターのような研修施設は、東京メトロの総合研修訓練センター(東京都江東区)▽大鉄工業の技術研修センター(兵庫県三田市)▽日本電設工業の中央学園(千葉県柏市)--などもあるが、一般には公開されていない。
毎日新聞 2017年1月5日
SMAPに代わる国民的アイドルグループはどうなってしまうのだろうか。嵐の櫻井翔(34)主演の新春ドラマ『君に捧げるエンブレム』(フジテレビ系)の平均視聴率が8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)であることが明らかになった。“SMAP解散以後”の2017年に嵐を躍進させたいジャニーズ事務所にとって、早くも暗雲立ち込める結果となった。
■新春ドラマで大コケ…視聴率1ケタで櫻井に酷評
1月3日に放送された『君に捧げるエンブレム』。サッカー日本代表にも選出された櫻井(鷹匠和也)は突然の事故に見舞われ、車椅子生活を余儀なくされる。失意のどん底に陥るも、フィアンセ・仲川未希役の長澤まさみ(29)と結婚し、車椅子バスケットと出会って新しい生き甲斐を見つける。
長澤はウェディングドレスまで披露するも、平均視聴率は1ケタ台の8.4%と不調な結果に終わった。櫻井は先日の『NHK紅白歌合戦』で大トリの一人を担い、今年はジャニーズの看板グループとして世間の注目を集めるところだが、出鼻をくじかれた格好だ。
「要所要所で、障害者や車イスバスケにまつわる現実問題が“重い”。昨年1月期の月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)みたいに暗い気持ちになる。障害をモチーフにした感動演出も、一部で指摘されているようにまるで夏の24時間テレビのよう。季節外れ感が否めず、元旦から積極的に観たいと思えるドラマではない。そこが賛否の分かれ目になったのでは」(報道関係者)
また酷評を浴びたのが櫻井の演技と体型。「ひどかったよ、演技…。途中でみるのやめたもん、嵐ファンだけど」「サッカー選手、車椅子バスケ選手とは思えぬデブさ」「司会や報道に専念してください」などと非難を集めた。
■2017年も嵐の出演作が目白押し
嵐の他メンバーも、出演作がすでに多数予定されている。大野智(36)は7月公開の映画『忍びの国』で石原さとみ(30)と、松本潤(33)は10月公開の映画『ナラタージュ』で有村架純(23)とコンビを組む。2016年の日本アカデミー賞・主演男優賞に選ばれた二宮和也(33)は、11月の映画『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』で滝田洋二郎監督(61)とタッグを組む。相葉雅紀(34)に関しては、フジの春の月9ドラマ内定の報道も出ている。
評価次第では、それぞれ新たな出演作が決まる可能性は大きく、年末に報じられた松本とセクシー女優・葵つかさ(26)の熱愛スキャンダルをもろともしない勢いだ。
「嵐は、歌も演技もバラエティもこなすアイドルグループとしてSMAPにかなり近い存在。それを意識してか、2017年は各メンバーとも主演作が華々しく用意されている。それに嵐は藤島ジュリー景子氏(50)の一派。躍進を印象づけることで、ジャニーズ事務所内外に“ジャニー喜多川(85)・メリー喜多川(90)体制”から藤島氏への政権交代を推進したい思いもあるでしょう。だから“SMAP解散以後”にあたる2017年の嵐の成功は不可欠なんです。誰か一人でも大当たりしてほしいはず」(前出・報道関係者)
まずグループで先陣を切った桜井は爆死。嵐の中で『あすなろ白書』(フジテレビ系、以下同)や『ロング・バケーション』、『HERO』で一世を風靡した“キムタク”こと木村拓哉(44)よろしく、“大当たり”するメンバーは登場するのか。はたまたSMAPの後継と名乗るには時期尚早か。各メンバーの主演作の評価に注目だ。
文・佐々木浩司(ささき・こうじ)※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。
2017年01月06日 デイリーニュースオンライン
高齢問題の研究者らでつくる日本老年学会などは5日、現在は65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に見直し、前期高齢者の65~74歳は「准高齢者」として社会の支え手と捉え直すよう求める提言を発表した。医療の進歩や生活環境の改善により、10年前に比べ身体の働きや知的能力が5~10歳は若返っていると判断。活発な社会活動が可能な人が大多数を占める70歳前後の人たちの活躍が、明るく活力ある高齢化社会につながるとしている。
高齢者の定義見直しは、65歳以上を「支えられる側」として設計されている社会保障や雇用制度の在り方に関する議論にも影響を与えそうだ。
東日本大震災の仮設住宅で、音楽に合わせて体操をするお年寄りたち
共同通信 47NEWS 1月5日