木のぬくもりで若者を呼び込め――。若者の移住や定住を促そうと、美浜町が木造平屋建ての町営住宅を建設中だ。外装、内装とも板張りのデザインを重視した一戸建て。自然に恵まれた知多半島南部の魅力を住んで感じてもらい、人口減と少子高齢化に歯止めをかけようとの試みだ。21、22日に見学会を開く。
町営住宅河和団地の老朽化に伴う一部建て替えに伴い、築45年以上で1棟に8戸あったメゾネットタイプの鉄筋コンクリート2階建て3棟を取り壊した跡地の約2200平方メートルに、木造平屋建て10棟を総事業費約1億8千万円で建てている。10棟とも1LDKで約50平方メートル。高齢者や障害者にも住みやすいように、段差が少ないユニバーサルデザインを採用するとともに、床や壁などに木材を多用した。ユニットバスはボタン一つで給湯できるシステムを採り入れる。
入居者同士がコミュニティーを作りやすい配慮もある。各戸には最近の住宅では珍しくなった縁側を幅90センチでL字形に配置。顔を合わせやすい構造にした。
公営住宅は高度経済成長期ごろから、鉄筋コンクリートなどの集合住宅が多くなった。美浜町も同様で、町営の木造住宅は町内に1954年に建てられた平屋が1戸残るだけだ。ほかの町営住宅も高齢者が多く、若者は少ないのが実情という。
町の担当者は、今回の建て替えで、あえて木造住宅にした理由を「若者にいいなと思ってもらえるデザインにしたかった。町外から若者に来てもらうと同時に、町内の若者の流出を止めたい」と説明する。デザインは建築事務所など25社の提案から選んだ。
20代から30代前半ぐらいの新婚や小さな子どもがいる世帯の入居を想定。「町を好きになってもらい、手狭になったら町内に新しい家を建てて住み続けてほしい」。屋外の共用スペースには芝を植え、入居者の希望を聞いて木も植えていく予定だ。
10棟は4月1日から入居可能で、町は反応をみながらさらに4棟の建設を検討する。入居には所得制限があり、家賃は所得に応じて月に2万1千円から4万8300円。見学会は21、22日の午前10時~正午と午後1時~3時。予約不要。23日から入居を募集する。問い合わせは美浜町役場(0569・82・1111)。
内装も木のぬくもりを生かしたデザイン=内装も木のぬくもりを生かしたデザイン=美浜町河和
2017年1月19日 朝日新聞