◇県内民間企業 理解広がり
鳥取労働局は、県内の民間企業の障害者雇用率(昨年6月1日現在)が2・11%となり、過去最高を更新したと発表した。企業に義務づけられた法定雇用率(2・0%)を達成した企業の割合も59・1%と全国平均を10・3ポイント上回り、障害者雇用に対する県内企業の意識の高さをうかがわせた。一方、採用後に早期離職するケースも目につくといい、支援の強化を求める声も聞かれる。
同労働局が県内に本社を置く従業員50人以上の423社を対象に、雇用している身体、知的、精神障害者の数を調査した。
その結果、企業に雇用されている障害者数は前年より84人多い1271人で、雇用率は全国平均の1・92%を上回った。法定雇用率を達成した企業は前年比4・3ポイント増となるなど、積極的な採用姿勢がみられた。
障害者の就労意欲も高まっている。同労働局によると、2015年度の新規求職申し込み件数は1021件(14年度比12・4%増)、就職件数は597件(同8・2%増)でともに過去最高。約10年間で2倍以上になった。
同労働局は、障害者雇用に理解のある企業が増えたことに加え、「職場適応援助者(ジョブコーチ)」を雇用率上昇の要因に挙げる。ジョブコーチは一定の研修を受けた専門員で、企業からの要請などに応じて入社から間もない障害者の悩みや相談に応じたり、企業側に指導法を助言したりする。
現在、身体、知的障害者計約20人を雇用する鳥取銀行の長戸奈緒子調査役は、「障害の特性に合った職種を教えてもらうことで、『適材適所』を実践できるようになり、労使双方のストレスを軽減できている」と評価する。
ただ、全国的に就労後、周囲に溶け込めずに孤立したり、意思疎通が十分にできずに悩みを抱えたりして早期離職するケースも目立つという。「『障害者に就労は無理』といった偏見も根強い」との指摘もある。
同労働局では来年度から、社内研修で障害者雇用に関する環境整備などについて学んだ人を「仕事サポーター」に認定する制度を始める方針。君野雄・地方障害者雇用担当官は、「企業との連携を密にし、障害者が職場に定着できるよう障壁を取り除いていきたい」としている。
2017年1月13日 読売新聞