ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

試行錯誤を糧に

2017年01月18日 01時06分08秒 | 障害者の自立

 先月中旬に福島県会津若松市でボッチャの福島県選手権が開かれた。招待選手で昨年のリオデジャネイロ・パラリンピック代表の高橋和樹(自立生活センターくれぱす)に、県内の愛好者を加えた約20人が参加した。

  重度障害者のために考案されたボッチャの大会が同市で開かれたのは初。市は2020年東京パラリンピックでタイの事前キャンプ誘致を目指す。リオのチーム決勝で銀メダルの日本を圧倒したタイチームを受け入れるため、まずは選手を招くのが目的の一つだった。昨年1月に完成した会場はスロープや多目的トイレが完備されて設備は整っていた。だが、主催者側の手配で高橋が泊まった温泉宿は入り口に階段があり、数人がかりで電動車椅子ごと持ち上げて入ったという。

 高橋自身こうしたことは織り込み済みで「障害者と接する中で試行錯誤はある」。相互理解のため、ハンディを認識し合うことは、20年大会の糧になると願っている。

毎日新聞   2017年1月16日


転落男性「優しい人」 出前頼み気さくに会話、地域に愛され

2017年01月18日 00時51分41秒 | 障害者の自立

 埼玉県蕨市のJR蕨駅のホームから全盲の男性(63)が転落、進入してきた電車に接触して死亡した事故から一夜明けた15日、知人らは男性について「礼儀正しく優しい人だった」「仕事一筋の真面目な人だった」と語り、突然の死を悼んだ。

  男性が同県川口市内で営んでいたマッサージ店の大家の男性は「きちょうめんで、約30年、家賃の滞納は一度もなかった」と話した。また、ほぼ毎日、マッサージ店に出前を届けていたという中華料理店の店主は「事故の前日に中華丼を届け、『今日は暖かいね』と言葉を交わしたばかりだった。14日は昼の出前の注文がなく、おかしいなと思っていた。生きていたら、昨日も出前を届けに行き、『寒いね』と話していただろうに……」と言葉を詰まらせた。

 1人暮らしの男性がよく訪れていたレストランの店主(69)も14日夜、取材に応じた。この店には盲導犬を連れた男性が座りやすい“指定席”があったといい、店主は「店員がメニューを読み上げ、配膳する時は『6時の方向にお肉、9時にご飯を置くよ』と伝えていた。盲導犬は、いつも足元でおとなしくしていて、他のお客さんに迷惑をかけることはなかった。むしろ、他の客に『触っていいですか』と言われて(男性が)快く応じていた」と振り返った。

 事故のニュースを聞いた際は「まさかあの男性では」と心配しつつ、「今日も仕事帰りに立ち寄ってくれるだろう」と来店を待っていた。「かわいそう。店員もみんな仲が良かったのに……」と悼んだ。

 男性が蕨駅を利用している姿を見かけたことがあるという近隣の男性(65)は「(駅の利用も)慣れた様子で、周囲も心配していなかった」と驚きを隠さなかった。

JR、声かけ徹底へ

 蕨駅で全盲の男性がホームから転落し死亡した事故を受けて、JR東日本は駅員による乗車介助など対策を徹底する方針だ。蕨駅などホームドアが設置されていない駅で視覚障害者を見かけた場合、駅員が構内を誘導し、安全に乗車ができるようサポートする。

 警察やJR東によると、男性は14日、盲導犬とともに自動改札機を通過。勤務していた駅員4人のうち1人は改札で男性に気づいたが、声をかけなかった。

 JR東では以前から「声かけ・サポート運動」と称して、構内で困っている人を見かけたら積極的に案内を申し出るよう決めている。だが、男性は駅員の間で「盲導犬を連れてほぼ連日利用している人」と知られており、当日も改札で特段変わった様子は見られなかったため、声をかけなかったという。

 国土交通省は先月、ホームドア未設置の駅では、駅員による乗車の介助を鉄道各社に要請した。視覚障害者が介助の申し出を断った場合でも、乗車まで見届けることを求めた。

 事故を受け、JR東は今後数日間、蕨駅の駅員と警備員を4人増やし、改札やホームをこまめに巡回する。

毎日新聞   2017年1月16日 


樹木希林さん、小林麻央さん、共感を呼ぶ闘病姿勢~がん治療と仕事の両立は可能なのか?

2017年01月18日 00時27分33秒 | 障害者の自立

 2013年に「全身がんだらけ」をカミングアウトして以降、奇跡的な復活を遂げて、現在も女優業を精力的にこなしている樹木希林さん(74)。

 乳がん闘病中の想いを綴るブログが支持を集め、英国BBCの「影響力を持ち、人の心を動かす女性100人(2016)」に日本人として初めて選ばれた小林麻央さん(34)。

 そんな女性たちの闘病姿勢が共感を呼ぶ一方、国立がん研究センターは昨年12月21日、75歳未満のがんによる死亡率の減少割合が2005年からの10年間で約16%に留まったと公表した。

 事前に国の目標(20%)を下回る結果は予測されてきたが、それを裏付ける喫緊の実測値が明かされた。

 それに先立つ12月9日に「改正がん対策基本法」が衆院本会議で可決・成立した。同改正法は「患者が安心して暮らせる社会」を謳い、がん診断後も患者が就労と治療を両立できるよう企業側の配慮を求めている。

 だが、<ボランティア精神に依存>する本末転倒の患者支援という問題点については本サイトでも触れたとおりだ。
*関連記事「がん対策基本法」は改正されたが......<ボランティア精神に依存>する本末転倒の「患者支援」

6割以上の経営者が「無理」回答

 がん患者の就労支援に取り組む一般社団法人「CSRプロジェクト」(Cancer Survivors Recruiting Project)が行なった全国調査によれば、改正法の掲げる理想(目標)とは程遠い事業主側の本音(現実)が浮き彫りにされた。

 CSRの調査は昨年4月、従業員300人以下の中小企業経営者および個人事業主の計200人を対象に行なわれたもの。うち就労と治療の両立に関する問いに対し、「難しい」「無理」という回答をした層が122人と「全体の61%」を占めた。

 両立の障害理由を尋ねた質問(=複数回答)については、「事業規模からして余裕がない」(93人)が最多。次いで「仕事量の調整が難しい」(42人)との現場性が露呈し、「どのように処遇していいか分からない」(28人)という戸惑いの本音が3位だった。

 では、一重に「中小企業」と呼ばれているが、国内の企業数全体の99.7%を占めているのを、あなたはご存じだろうか。昨春発表された中小企業庁の概要によれば、全国の中小企業数は380万9000社だ。

 その中小で働く計3361万人という従業員数も全体の70.1%を占めている。にもかかわらず、先程のCSR調査の就労と治療の両立に関するすべての質問を通じて、「問題ない」と答えた事業主は200人中71人(35.5%)だった――。

中小のがん失職率も3倍超

 また、同時期にCSRが全国の患者300人を対象に実施した調査でも、がんの診断後の「大手」と「中小」の実相差が確認された。

 診断後の失職率が従業員500人以上の企業では5.1%なのに対して、従業員500人未満の企業の場合は16.8%と「3倍以上」の数値が弾き出され、企業規模が小さいほど高い離職率を示していた。

 調査概要によれば、中小経営者が国などに求める具体的な支援策は、休職中社員の社会保険料の会社負担減免や、患者の就労継続に取り組む企業への助成金などが多かったという。

 だが、国や自治体は障害者・高齢者の雇用企業への助成金制度は設けているものの、がん患者雇用を促す制度は、いまだ確立されていない。

 折しも内閣府は昨年末、技術革新などがなされない場合の生産年齢人口減(2030年で1%減)による低成長定常化を想定し、高齢者の定義を「70歳以上」に引き上げることも提案。

 新年を迎えた5日には、日本老年学会・日本老年医学会が従来「65歳以上」とされてきた高齢者の定義を「75歳以上」にするべきだと提言した。日本人の死因第1位は変わらず「がん」、その「75歳未満」の死亡率減が目標値を下回る以上、そんな論議もどこか空しく響く。

2017年01月16日      ヘルスプレス