クルマの自動運転技術応用 現状どこまで可能?
目的地まで自動で荷物を運ぶ宅配ロボットの開発がすすめられています。荷物を運ぶということはつまり、公道を走るのでしょうか。いまロボットにできることとは、具体的にどのようなことなのでしょうか。
どこまでできる? 「宅配ロボット」の現状
2018年1月17日(水)から19(金)まで、東京ビックサイトで行われた「第1回自動運転EXPO」に、クルマの自動運転システムやロボットの開発を手がけるZMP(東京都文京区)が宅配ロボット「キャリロデリバリー(CarriRo Delivery)」を出展しました。箱型の胴体の下にはタイヤがついており、クルマの自動運転技術の応用により最大6km/hで屋内外の自律走行が可能、自動で荷物を目的地まで届けるというもので、2017年に六本木で実証実験も行われているそうです。
「目的地に荷物を運ぶ」ということは、公道を走るのでしょうか。ということは、ロボットは車両になるのでしょうか。また、自動でどこまでのことが可能なのでしょうか。2018年1月現在の現状を、ZMPに聞きました。
――このロボットは、車両なのでしょうか?
車両かそうでないかは、断定できないところです。そのため実証実験は現在、自由に使える敷地でのみ行っています。例外的に、会社付近の歩道で実験を行ったことがあるのですが、その時は緊急停止ボタンを取り付け、ロボットの後ろに人が同行しています。
――ロボットは、どのように周囲の障害物などを察知するのでしょうか?
センサーとカメラで、周囲を360度確認しながら動く構造になっています。障害物があらわれた時には、止まったりよけたりして、衝突を避けることができます。あらかじめ察知できた障害物はよけて走行しますが、急に障害物が現れると停止します。横断歩道の信号機は、カメラから見て色を判断する仕組みです。遠隔で監視することも可能です。
――段差を通る時は、どのように作動するのでしょうか?
現状では、大きい段差を乗り越えられる構造にはなっていません。今後、開発をすすめたいと考えています。
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ZMPによると、実用化の際にはスマートフォンの利用を想定したシステムになるといいます。たとえば宅配業者による運用の場合、荷物を積載したロボットが指定の場所付近に到着すると、届け先である顧客のスマートフォンが振動し知らせるといった要領です。顧客が荷物を受け取る際も、スマートフォンをいわばカギのように利用することで、届け先の正しさを担保するとともに、決済機能も持たせられるようにすることを考えているそうです。
2017年に六本木で行われた実証実験の内容は?
宅配ロボットの開発は2014年にはじまりました。2017年には、宅配寿司チェーン「銀のさら」を展開するライドオンエクスプレス(東京都港区)とともに、六本木ヒルズで実証実験を行っています。
「ロボットを森ビルの中で移動させ、宅配物を届ける実証実験を行いました。ロボットは、その過程でエレベーターの乗り降りを行っています。ちなみに、ロボットがエレベーターを乗り降りするには、エレベーター側の設定も必要です」(ZMP)
ZMPは今後も、配達員の人手不足などの課題を抱える事業者とともに、さらに多くの実証実験を行いたいと考えているそうです。
「現行のルールでは公道を走るのが難しいとしても、まずは大学構内やビルの中など、狭い範囲内での運用からでも開始できればと考えています」(ZMP)
公道に出ない短距離の移動にも、一定の需要はあると見込んでいるそうです。
滑らかなフォルムの「キャリロデリバリー」
2018/01/22 乗りものニュース