聴覚障害の身体障害者手帳が不正取得されたとみられる事件に絡み、札幌の前田幸■(よしあき)医師(73)の診断をもとに手帳を取得し、重度身体障害者医療費の助成を受けていた受給者が七百六十八人、受給総額は一九九九年度から九年間で二億五千万円に上ることが二十六日、道の調べで分かった。障害年金の約七億円、自動車税の減免などを合わせ、手帳の不正取得にかかわる公金の受給や免除された税金の総額は十億円を超える見通しとなった。
道によると、不正が確認された場合、医療費助成で過去五年分、減免された税金で七年分がそれぞれ、返還、支払いの対象となるため、道は手帳取得者に助成分の返還や税の減免分の支払いを求める方向で検討に入った。
いずれも二十六日の道議会予算特別委で、自民党・道民会議の船橋利実氏(北見市)の質問に答えた。
重度心身障害者医療費助成は、身障者手帳一-三級の取得者に対し、所得や扶養家族数などに応じて、医療費の自己負担分の全額または一部を道と市町村が折半で補助する制度。道は三月、医療費助成の実態調査を行う方針を示していた。
道が関係市町村を通して集計した結果、医療費助成の受給者は、前田医師の診断で手帳を取得した八百四十五人のうち、九割以上を占めた。受給者は道内六十四市町村に居住し、芦別、赤平両市を含む空知管内や札幌市などが目立つという。
また、道は昨年度、同医師の診断による手帳取得者のうち、自動車税について五百十二人、自動車取得税で八人の課税を免除していた。
道は、自動車税については五月までに手帳を返還した三百五十一人の課税免除を取り消し、本年度分の総額千四百四十万円を新たに課税した。これらの人数や金額から、昨年度だけでも自動車税の減免額は二千万円以上になると推定される。
また、手帳取得者は所得税や住民税も減免されるが、これらの税の減免額は現時点で不明で、総額はさらに膨らむ可能性が高い。
年金300万円の返還求める 社保事務局 聴覚障害不正で初
聴覚障害の身体障害者手帳の不正取得容疑事件に関連し、北海道社会保険事務局が札幌の前田幸■(よしあき)医師(73)の診断に基づいて障害年金を支給した六十代の女性に対し、支給済みの障害年金約三百万円の返還を求めていたことが二十六日、分かった。前田医師の診断に絡み同事務局が障害年金の返還請求を行うのは初めて。
同事務局によると、女性は最重度の聴覚障害と診断され、二〇〇五年六月から障害年金が支給されていた。昨年十二月の不正疑惑発覚後、障害に当たらないとする「不該当届」を自ら提出した。
これを受け、同事務局は今年六月支給分から支払いを停止。本人から聞き取り調査した結果、「当初から耳は聞こえていた」と認めたため、支給開始時にさかのぼって資格を取り消した。女性は返還請求に応じる意向を示しているという。
また、同事務局は二十六日、八月支給分、十月支給分から計二十四人の障害年金支給を停止したと発表した。既に六月支給分から停止している百十人分を合わせると、停止措置を取った受給者への年間支給総額は約一億七千三百万円になる。
同事務局は支給を停止した全員に対し、今後調査を進め、不正を確認できれば〇七年度までに支払われた総額七億円の返還についても求めていく方針。
道によると、不正が確認された場合、医療費助成で過去五年分、減免された税金で七年分がそれぞれ、返還、支払いの対象となるため、道は手帳取得者に助成分の返還や税の減免分の支払いを求める方向で検討に入った。
いずれも二十六日の道議会予算特別委で、自民党・道民会議の船橋利実氏(北見市)の質問に答えた。
重度心身障害者医療費助成は、身障者手帳一-三級の取得者に対し、所得や扶養家族数などに応じて、医療費の自己負担分の全額または一部を道と市町村が折半で補助する制度。道は三月、医療費助成の実態調査を行う方針を示していた。
道が関係市町村を通して集計した結果、医療費助成の受給者は、前田医師の診断で手帳を取得した八百四十五人のうち、九割以上を占めた。受給者は道内六十四市町村に居住し、芦別、赤平両市を含む空知管内や札幌市などが目立つという。
また、道は昨年度、同医師の診断による手帳取得者のうち、自動車税について五百十二人、自動車取得税で八人の課税を免除していた。
道は、自動車税については五月までに手帳を返還した三百五十一人の課税免除を取り消し、本年度分の総額千四百四十万円を新たに課税した。これらの人数や金額から、昨年度だけでも自動車税の減免額は二千万円以上になると推定される。
また、手帳取得者は所得税や住民税も減免されるが、これらの税の減免額は現時点で不明で、総額はさらに膨らむ可能性が高い。
年金300万円の返還求める 社保事務局 聴覚障害不正で初
聴覚障害の身体障害者手帳の不正取得容疑事件に関連し、北海道社会保険事務局が札幌の前田幸■(よしあき)医師(73)の診断に基づいて障害年金を支給した六十代の女性に対し、支給済みの障害年金約三百万円の返還を求めていたことが二十六日、分かった。前田医師の診断に絡み同事務局が障害年金の返還請求を行うのは初めて。
同事務局によると、女性は最重度の聴覚障害と診断され、二〇〇五年六月から障害年金が支給されていた。昨年十二月の不正疑惑発覚後、障害に当たらないとする「不該当届」を自ら提出した。
これを受け、同事務局は今年六月支給分から支払いを停止。本人から聞き取り調査した結果、「当初から耳は聞こえていた」と認めたため、支給開始時にさかのぼって資格を取り消した。女性は返還請求に応じる意向を示しているという。
また、同事務局は二十六日、八月支給分、十月支給分から計二十四人の障害年金支給を停止したと発表した。既に六月支給分から停止している百十人分を合わせると、停止措置を取った受給者への年間支給総額は約一億七千三百万円になる。
同事務局は支給を停止した全員に対し、今後調査を進め、不正を確認できれば〇七年度までに支払われた総額七億円の返還についても求めていく方針。