東日本大震災の影響で1万人を超える人が休業・失業した県内沿岸地域では、大勢の障害者も仕事を失った。県は緊急雇用対策として約118億円を補正予算に計上したが、職種が限られ、障害者の雇用には結びつきにくいのが現状だ。離職期間が長期に及ぶと再就職が難しくなるケースもあり、関係者は早期の対策を求めている。
国と県の委託を受け、陸前高田と大船渡の両市で障害者の一般就労を支援している「気仙障がい者就業・生活支援センター」の一室。生活支援ワーカーの熊谷律子さん(43)に相談に訪れていた、大船渡市の女性(44)は「休んでいると仕事をしたくなくなっちゃう」とこぼした。
軽度の知的障害がある女性は震災前、陸前高田市内のホテルで清掃の仕事をしていた。離婚歴があり小学生の娘(11)と母親(75)の3人暮らし。人間関係を築くのが苦手で、センターの紹介で昨年5月にホテルに就職する以前は、水産関係や機械メーカーの工場を転々としていた。センターの支援を受け、ようやく自分にあった仕事を見つけたところだった。だが、津波でホテルが被災。他の従業員と共に解雇された。
高台にある自宅は被害を免れたが、月約5万5000円の失業手当は今年11月で支給が終わり、障害者年金8万円と子ども手当だけでは暮らせない。再就職のあてもなく、不安ばかりが募る。何よりも娘のことが一番の気がかりで「ほかの子と同じことをしてあげたい」と服を救援物資の中から選び、節約して暮らす。
センターによると、陸前高田と大船渡の両市では、震災により一般就労していた約60人の障害者が仕事を失った。支援物資の仕分けやがれきの分別作業など、県の緊急雇用で再就職が決まったのはわずか7人。障害の種別や程度も異なり、肉体労働ができなかったり、人間関係になじめなかったりといった理由が、就職の妨げになっているという。
センターでは再就職先の確保に加え、離職に伴い生活のリズムが乱れることを心配している。離職期間が長引くと、元の生活に戻るには精神的な負担が大きい。熊谷さんは「障害を持つ人の中には一歩踏み出すのが大変な人もいる。一般の人でも仕事がないが、行政はしっかりと主導して障害者の働く先を探してほしい」と訴える。
毎日新聞 2011年6月29日 地方版
国と県の委託を受け、陸前高田と大船渡の両市で障害者の一般就労を支援している「気仙障がい者就業・生活支援センター」の一室。生活支援ワーカーの熊谷律子さん(43)に相談に訪れていた、大船渡市の女性(44)は「休んでいると仕事をしたくなくなっちゃう」とこぼした。
軽度の知的障害がある女性は震災前、陸前高田市内のホテルで清掃の仕事をしていた。離婚歴があり小学生の娘(11)と母親(75)の3人暮らし。人間関係を築くのが苦手で、センターの紹介で昨年5月にホテルに就職する以前は、水産関係や機械メーカーの工場を転々としていた。センターの支援を受け、ようやく自分にあった仕事を見つけたところだった。だが、津波でホテルが被災。他の従業員と共に解雇された。
高台にある自宅は被害を免れたが、月約5万5000円の失業手当は今年11月で支給が終わり、障害者年金8万円と子ども手当だけでは暮らせない。再就職のあてもなく、不安ばかりが募る。何よりも娘のことが一番の気がかりで「ほかの子と同じことをしてあげたい」と服を救援物資の中から選び、節約して暮らす。
センターによると、陸前高田と大船渡の両市では、震災により一般就労していた約60人の障害者が仕事を失った。支援物資の仕分けやがれきの分別作業など、県の緊急雇用で再就職が決まったのはわずか7人。障害の種別や程度も異なり、肉体労働ができなかったり、人間関係になじめなかったりといった理由が、就職の妨げになっているという。
センターでは再就職先の確保に加え、離職に伴い生活のリズムが乱れることを心配している。離職期間が長引くと、元の生活に戻るには精神的な負担が大きい。熊谷さんは「障害を持つ人の中には一歩踏み出すのが大変な人もいる。一般の人でも仕事がないが、行政はしっかりと主導して障害者の働く先を探してほしい」と訴える。
毎日新聞 2011年6月29日 地方版