ニコンが28日、「NIKKOR(ニッコール)」レンズ発売80周年を迎えたと発表しました(ニュースリリース)。
ニュースリリースによると、『「NIKKOR」の歴史は、ニコン(当時:日本光学工業)が1932年に「NIKKOR」の商標登録を行い、1933年に航空写真用レンズを「Aero-Nikkor(エアロニッコール)」と名付けて初めて販売したことから始まりました。』と説明されています。
最初は航空写真用レンズからスタートしたんですね。
昨年11月に、レンズ交換式カメラ用「NIKKOR」レンズの累計生産本数が7,500万本を達成したとの発表があったのも記憶に新しいところ。まさに、キヤノンとともに、日本が世界に誇るカメラ・レンズメーカーです。いくら今勢いのいい新興工業国が頑張っても、この膨大な遺産に追いつくのは並大抵ではないでしょう。
価格.com新製品ニュースによると、『ニコンは、NIKKORレンズ発売80周年を受け、記念ロゴを制作。各種コミュニケーションツールなどで活用していくという。1月31日から2月3日まで神奈川県横浜市西区のパシフィコ横浜で開催される「CP+ 2013」の同社ブースには、「NIKKOR」80周年展示コーナーを設け、歴史的な評価が高いレンズや最新レンズ、宇宙で活躍したレンズを紹介する。 』とのことです。
「CP+ 2013」の話題がまた一つ増えました。
NIKKORレンズ80周年記念ロゴ
◇NIKKORの“神レンズ”
キヤノンユーザーの私が言うのも妙ですが、ニコンにはすごいレンズがあるなァと感心したことがあります。
NIKKORレンズ80周年へのお祝いを兼ねて… いわゆる「神レンズ」について書いてみます。
ちょっと古い話で、中にはご存じの方もあるかもしれません。
2010年6月13日、小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還しました。このとき、着陸地点のオーストラリアで待ち構えていた朝日新聞の記者が、素晴らしい映像を撮影しました。
当時、朝日新聞東京本社科学医療部にいた東山正宜さん。
その映像は、東山さんのブログ「痛い目みてなんぼ」でご覧ください。
天の川と満天の星が輝く夜空を、60億kmの宇宙の旅を終えた「はやぶさ」が、鋭い光条を放って突き抜けて行く--- のちに東京写真記者協会賞特別賞を受けたこの写真は、朝日新聞一面のトップを飾り、大きな反響を呼びました。
東山さんのブログによると、この撮影に使われたのがニコン14-24mm F2.8(AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDと思われます)。
東山さんは6/15のブログ「ピクセル等倍でお楽しみ下さい」で撮影データを公表されています。
なんと、カメラはニコンではなくてキヤノン5D MarkⅡ! これにノボフレックスのマウントアダプター経由でニコン14-24mm F2.8を付けたそうです。当時、キヤノンには、ニコン14-24mm F2.8をしのぐレンズがなかったということでしょう。
ブログによると『赤道儀はビクセンGPガイドパック。三脚はケンコーSE用で、パイプをステンからアルミにして軽量化したものでした。露出は2.8F、ISO800で3分』とあります。
「はやぶさ」の軌跡をとらえた後、赤道儀でじっくり星を追い続けながら背景の星空を浮かび上がらせたのだと想像します。
この星空のピクセル等倍画像を見ましたが、絞り解放で画面の隅っこでも星はゆがんだりせず、みごとに「点」として写っています。「コマ収差」「非点収差」などの、レンズの収差がほとんどないということですね。『う~ん、まさに神レンズ』と、東山さん。
星景写真を撮るのにこれ以上ない「神レンズ」なるものがあることを教えられたブログでした。
それがNIKKORレンズであることに、キヤノンユーザーとしては、ちょっと悔しいような複雑な気持ちでした。
「神レンズ」あるいは「銘玉」といわれるレンズは、ニコンに限らず、キヤノン、ソニー、オリンパス、パナソニック各メーカーごとにあるようで、それぞれのユーザーから献辞を奉られているわけですが、ニコン14-24mm F2.8は何やら別格のような感じがします。
重さ何と1キロ、前玉は電球のようにふくらみ、フィルター取り付け不可。いかにもニコンらしい…
自分で買ってアダプターを取り付け… というところまではいきませんが、手にする機会があればファインダーをのぞいてみたい気がします。
ニコンの“大三元”レンズの一つでもありますから、たぶん「CP+ 2013」でも展示されますよね…