グランフロント大阪で開かれている「篠山紀信展 写真力」(4/5~5/18)を見ました。
2012年に東京で開催されたほか、全国の美術館などを巡回している篠山さんの大規模な個展。
すでに見た人も多いと思うので、遅ればせながら… という感じですが、篠山さんの代表作が巨大パネルで展示されているので、この機会に見ておかないと、と思って行ってきました。
グランフロント大阪北館に掲げられた大きなポスターには、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの写真(1980年)が。
地下一階のイベントラボが会場でした。
会場の入り口。
篠山さんが50年にわたって撮影した中から、とくに「写真力」のある作品を厳選したとのこと。
「GOD」(鬼籍に入られた人々)、「STAR」(すべての人々に知られる有名人)、「SPECTACLE」(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)、「BODY」(裸の肉体、美とエロスと闘い)、「ACCIDENTS」(2011年3月11日、東日本大震災で被災された人々の肖像)の5つのセクションで展示されています。
「GOD」の巨大パネルにまず驚かされます。大原麗子(1988)、夏目雅子(1982)のなんと美しいこと。自決前の三島由紀夫のモノクロ写真(1969)(1970)からは鬼気迫る異様な雰囲気が伝わってきます。
座頭市の姿で、白目をむいてゲタを飛ばす勝新太郎(1992)も面白いですね。
読売新聞(大阪)地域版に連載された『本人が語る「篠山紀信展 写真力」』(4/18~4/22掲載)によれば、薬物の不法所持で逮捕された勝新太郎から、「篠山さんの写真を第1弾に芸能活動を再開させたい」と頼まれたそうです。
「SPECTACLE」には、派手な隈取(くまどり)をした歌舞伎役者の迫力ある表情の数々。
坂東玉三郎のきらびやかな衣装も見事。大伸ばしのプリントにもかかわらず、模様の細かなところまでくっきり。「8×10(エイトバイテン)」のような大型カメラを使っているようです。パノラマ仕立ての「シノラマ」で撮られた東京ディズニーランドの写真もありました。
おなじみの俳優、歌手や野球選手が並ぶ「STAR」で目立つのは、なんといっても山口百恵(1977年)。
水面すれすれに水着姿であおむけになっている不思議なシチュエーションの作品。東京会場の「東京オペラシティ アートギャラリー」ではもっと巨大なパネルで、その前に篠山さんが立っている様子がとても面白かったですが… (アートアニュアル オンライン参照)
スキャンダラスな感じだけれど、間違いなく傑作!
いったいどうやって撮影したんだろうと思っていました。さきの読売新聞(大阪)連載『本人が語る「篠山紀信展 写真力」』(4/22付け)で、ようやく撮影の状況がわかりました。
そのくだりを少し引用させてもらうと、
『デビューから引退まで撮ったアイドルといえば、山口百恵さん。売れっ子で、スケジュールを押さえるのが大変だった。僕は当時、「少年マガジン」「明星」「GORO」のグラビアを受け持っていた。3誌分を1日で撮るからと頼み込んだら、事務所が空けてくれた。湖に半分沈みかけたボートがあって、夕方、そこに寝てって言ったら、何とも色っぽい写真になったんだ。』
沈みかけたボートに、あの百恵ちゃんを寝かせるとは… 何というひどい(すごい)写真家でしょうね。
「BODY」のセクションはヌード。あの宮沢りえの写真(1991年)がありました。165万部という驚異的な売り上げを見せ、社会現象にもなった写真集「Santa Fe」。これも大型カメラ「8×10」で撮ったそうです。
「ACCIDENTS」には、東日本大震災の被災者の表情。しわだらけのおばちゃんの顔や、若い人たちの顔。
この人たちがどんな人生を歩んできたんだろうか、これからどうやって生きていくんだろうか… と思うと、ちょっと胸に迫るものがありました。
会場を出るころには夕暮れに。グランフロント大阪の夜景。
「うめきた広場」。ここではしょっちゅうイベントが開かれています。眺めがいいですね。
大阪駅ビルの「ルクア」にある時計店で。
こういうグッズにも少しは興味があります。ドイツ「ZEPPELIN」の腕時計。
ソニーRX100は“寄れない”ので、いわゆる「ブツ撮り」には向いていないカメラ。しかし、2020万画素を生かしてトリミングすればOK。
上の写真のピクセル100%画像。
コンパクトカメラ、1インチのセンサーにしては良い解像感。色滲みも少ない。やっぱりツァイスレンズはいい。
(こんなところで自画自賛してないで、篠山さんのように、もっと「写真力」のある作品を取らないと… )
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撮影カメラ ソニーRX100