リコーの新しい中判デジタルカメラ「PENTAX 645Z」を発売前に試せる「PENTAX 645Z体感&トークライブ」が4月26日、グランフロント大阪で開催されました(東京では4月19日に恵比寿ザ・ガーデンルームで開催済み)。
会場に展示された「PENTAX 645Z」。
35mmフルサイズカメラに比べ1.7倍の面積のイメージセンサー(5140万画素)を搭載、高い解像力を誇る中判フォーマットのカメラ。
「645D」(2010年6月発売、4000万画素)から4年、満を持しての新製品で、来場者の期待は高かったですね。午前、午後の部とも定員一杯になっていました(事前予約制)。
写真家・田中希美男さんのトークライブ「PENTAX 645Zの秘密に迫る!」では、実写例を交えながら特長を解説していました。
田中希美男さんのトークライブ。
以下は、トークで印象に残ったポイント。
・高画素と高感度(ISO100~204800)を両立させた、こんなカメラはほかにない。ISO 6400でもほとんどノイズを気にせず使える。
・センサーが「645D」のCCDからCMOSに変わったため、CCDとは絵が違うのではないかという人がいるが、色調は全く変わっていない。
・CMOSの採用でライブビューが実現。液晶は太陽光の下でも見やすい。撮影後のクイックビューなどレスポンスもよくなった。3コマ/秒で連写できる中判カメラなどほかにはない。
・動画も可能になった。大きなボケのある動画ができる。
・AF性能が向上、-3EVの暗い被写体でもピントが合う。動体予測AFも効く。AFポイントが中央に固まってしまっているのは、APS-Cフォーマットの一眼レフ「K-3 」からそのまま取り入れたシステムのため。AFポイントは自由に動かすことができる。
・回折補正(小絞りボケを補正)は最後に入った機能で、間に合わなかったためかカタログの記述が少ないが、絞りこんで使いたい風景撮影には便利な機能。常に「回折補正/オン」でよい。
・プロには必須の「テザー撮影」(スタジオで、撮影画像をダイレクトにパソコン画面に表示する)に対応した。
・数百万円するハッセルブラッドやフェーズワンと同じソニー製センサーで、画質が変わらないことから考えると非常に安い(約80万円)。ボディーの外観を「645D」から変えないことでコストを抑え、実を取ったカメラだ。
このほか、近日発売の超広角ズームレンズ(35mm判換算で22-35mm?)の話があり、リコー開発担当者が、夏に発売を目指し開発中だと説明していました。良いレンズだそうです。
トークのあと、体験コーナーへ。
35mmフルサイズ(右)とのセンサーの大きさを比較する展示。
これだけ大きければ、なるほど解像力も諧調も良いはずです。「645D」と同じくローパスフィルターレス。
画像処理エンジンPRIME IIIの基盤(左)。素人が見ても分からないけど…
マグネシウム合金製の外装(左)とパーツを固定するアルミダイキャスト製シャシー。
ボディーは防塵防滴。田中希美男さんによると、ペットボトルの水をかけても大丈夫とか。防滴より防塵のほうが難しいようで、トークライブではアフリカ・サファリ砂漠の撮影体験を例に挙げて解説されていました。
タッチ&トライコーナーで。くっきりした背面液晶の表示。「K-3」と似た操作系です。
55mmの標準レンズを付けたボディー(本体のみ1470g)を持ってみました。中判らしいズッシリ感はあるものの、思ったほど重くはありませんでした。
キヤノンやニコンの35mmフルサイズ、とくにフラッグシップ機+ズームレンズの方が、これより重いんじゃないでしょうか。
タッチ&トライコーナーで試す来場者。
シューティング体験スタジオ。
「645Z」を使って、モデルさんを撮影できます。ただし、データの持ち帰りは不可でした。残念~
ライブビューで撮影するとこんな感じ。
連写を試してみました。35mmフルサイズ機やAPS-C一眼レフの高速連写機種に比べれば、たしかに遅いです(3コマ/秒)。バシャン、バシャン、バシャンという音… (音自体は快い)。むしろ、中のミラーが大きいのにここまで連写できるようにしたことがすごいと思います。
連写のあと、液晶のクイックビューに精細な映像が次々に表示されます。普通の一眼レフで撮影するようにスムーズ。
風景派なら、三脚に固定、ライブビューで拡大してきっちりピントを合わせ、ミラーアップして振動を抑え、レリーズでシャッターを切る---という使い方をするでしょうが、手持ちでポートレートや街のスナップに使えそうな、機動性もあるカメラです。
「スタジオ ワークフローのデモンストレーション」。カメラとパソコンを連結する、プロ向けの「テザー撮影」。
アマチュアには関係ない、とはいえ興味シンシン。
デモンストレーターの写真家・小林宗正さんが、撮影からパソコンでの補正、プリント出力までの流れを解説。
スタジオ照明の色温度をきちんと設定するのが大事。補正は、カスタムイメージを「ナチュラル」か「鮮やか」にして、「トーンカーブの左右を少しツメる」「暗部を少し持ち上げる」など。純正ソフトでのわずかな操作にとどめ、Photoshopで色々いじることはしないそうです。「Photoshop はゴミ取り用」と小林さん。
フ~ム、私など、出来の悪い写真の見栄えを良くしようと、補正のやりすぎかも… 反省!
デジタルカメラに最適という色温度の数値も聞きましたが、「あまり教えたくない」というのでここには書きません… プロカメラマンの「キモ」ですものね。
出力されたプリントがありました。さすがに中判、5140万画素の世界。
モデルさんは、次のデモンストレーション待ち…
タッチ&トライコーナーのそばにあった、新製品「PENTAX フィルムデュプリケーター」。
昔撮ったフィルム作品を、手持ちのカメラとストロボを使ってデジタルデータ化できます。
フィルムスキャンよりはるかに簡単で、画質も良い。フィルム資産がたくさんある人にお勧め。
写真家が「645Z」を使って撮った作品が展示されていました。
どれも「超」のつく高解像画像。
雪景色の白にも諧調がありますね。
このあと、聞いたトークライブ「鈴木一雄が語る 645Z 驚愕の世界」で、写真家・鈴木一雄さんは「高画素ばかりに目が行きがちだが、中判カメラは諧調の良さに特長がある」と、35mm判と比較しながら解説されていました。
また、アサヒカメラ5月号に掲載した「神磯の鳥居」「月下の山水」などの画像をもとに、「645Z」の高感度性能をとくに強調。
レンズについては「ペンタックス製レンズは、古いレンズでも高解像の設計をしているものがある。数万円の中古レンズでも、現代の数10万円するレンズに十分対抗できる」とのことでした。
アンケートに答えて、お土産にもらった「645Z」発売記念切手。
しかし、こんな切手を貼って、だれに手紙を出しますかね…
「645Z」買ったよ! と自慢する?
カメラとレンズで100万円ぐらいの大決断。
ウ~ン、全然買う気はなかったのに、少しは欲しくなってきたかも… この種のイベントの魔力ですね。
-----------------------------------------------------------------------------
撮影カメラ ソニーRX100