ライカがモノクロ専用のフルサイズデジタルカメラ「ライカ M モノクローム」を正式に発表しました。
噂は出ていましたが、ユニークなカメラですね。モノクロしか撮れないとは。
「モノクロ写真の芸術性を探求する世界初のカメラ」というキャッチフレーズに、ライカの力の入れようが感じられます。
撮像素子は有効1800万画素。新たに開発したモノクロ撮影専用の撮像素子です。
もちろんカラ―フィルターはなく、各画素が輝度を忠実に記録するため、シャープな描写で“正真正銘の”モノクロ写真を撮影することができるそうです。
通常のカラーの撮像素子(ベイヤー配列)では、RGB各色に割り当てられた素子が、“自分”以外の色情報を隣の素子からもらって統合する---というような仕組みが必要で、それが画像の劣化につながるのですが、モノクロ専用素子ではその心配がない、ということのようです。
フルサイズ、1800万画素と聞いて「なんだ、その程度か」と思うのは大きな間違い。すべての素子がビッチリ輝度情報を拾うので、実際には同じ画素数のカラ―撮像素子よりはるかに精細な画像が得られるはず。
ライカのサイトから実写サンプルをダウンロードし、100%に拡大した画像を切り出してみました。
◇驚異的な解像感
ノートルダム聖堂の写真(ISO320 オレンジフィルター使用)。
100%に拡大した画像とは思えない精細さ。このまま作品として通用しそうです。
ちなみに全体の画像は下の写真(左上の塔の彫刻部分が上の100%画像にあたります)。
それにしても、オレンジフィルターとは懐かしい。銀塩白黒写真でコントラストを付けるのに使いましたね。夏空を黒くして雲を浮かび上がらせたり…。
カラ―でこのフィルターを付けても、色カブリするだけでしょう。
人物写真はどうでしょうか。
老人の漁師(ISO320)。同じく100%拡大画像ですが、やはりこのまま使えそうです。
さらに驚くべきは衣服の部分。
どうですかこの解像感。たまりませんね。
レンズも最高のものを使っているのでしょうが、たとえばニコンD800Eの実写例(ニコンのサイト)と比べてみても、同程度の解像感か、ひょっとするとライカの方が上回っているのではないかと思わせます(被写体が違うので、厳密な比較はできませんが)。
モノクロ1800万画素は、実際にはニコンのカラ―36300万画素以上かもしれないということです。
上の漁師の全体写真は下に。
グレーの微妙な階調もよくでているようです。
次は高感度の例。
パイプオルガン(ISO 2500)。
さすがにノイズが感じられますが、銀塩写真の粒子のようでかえって好ましいともいえます。
全体写真は下に。
黒が引き締まり、とてもいい写真だと思います。
こうして見ていくと、モノクロ写真の魅力にはまりこんでしまいそう。
◇細かい設定が可能
ヨドバシのサイトによると、1954年以降に製造されたMレンズはほぼすべて使用可能。ファインダーと距離計を用いたマニュアルフォーカス、絞り優先AEモードあり。
背面には液晶モニター。シャッターチャージのタイミングを選択することもできるほか、シャッターレリーズボタンを軽く押すだけでシャッターが切れるように設定できるとのこと。これは昔のフイルムカメラの軽いシャッターを連想させます。
ボディは、クラシカルで高い堅牢性を持ち、いかにも往年のレンジファインダーの名機を思わせる外観です。
発売は8月の予定。価格は900,000円(税込)前後を予定と、ヨドバシのサイトに出ていました。
いやはや…別格ですね。