横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

第3回 心不全パンデミック講演会(小開胸大動脈弁置換術)

2018-11-08 17:16:45 | 弁膜症



今年から始まった心不全パンデミック講演会、第3回になる次回2019年3月の内容で、小開胸の大動脈弁置換術について講演させていただきます。横須賀市立うわまち病院で行っているStonehenge Techniqueは、神奈川県内ではまだ実施している施設がほとんどなく、この術式の導入によって合併症なく、回復が速いことを実感しているため、その新しい手術方法の紹介をする予定です。横須賀市立うわまち病院では、小開胸大動脈弁置換術は、大動脈弁置換術における標準手術としています。

 しかしならが、小開胸で大動脈弁置換術行うための条件として、
① 第4肋間から大動脈弁までの距離<15cm
② 上行大動脈の性状が良好で、安全に大動脈遮断が可能
③ 左室の壁運動が保存されている(左室駆出率<50%  左室拡張末期径<55mm)
④ 過去に右開胸手術の既往がない
⑤ 左心耳切除を同時に行う必要がある(左心耳縫縮でもよい症例は可)
⑥ 左室流出路心筋切除を併施する必要がある
⑦ 肺機能が悪く片肺換気に耐えられない
⑧ 上行大動脈径>45mmの拡張症例
⑨ 冠動脈バイパス術や胸部大動脈手術の同時手術が必要
など

 特に小開胸で積極的に実施したい条件として
① ストロイド内服中、糖尿病患者など易感染性素因を持っている
② 大動脈の性状が良好
③ 高齢でADLが低下している

実際に最近の症例で、小開胸手術とせず、従来の胸骨正中切開を行った症例は以下の通り
① 右肺の術後で癒着の危険がある
② 上行大動脈の性状不良で遮断位置の工夫が必要で、かつ、場合によっては上行大動脈置換併施の必要があった
大動脈弁置換のみの場合は、胸骨部分切開でこれも約8cm以下の皮膚切開で最近はおこなっています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする