いわゆるオフポンプCABG=人工心肺非使用で心拍動下で吻合する冠動脈バイパス術において、吻合中の視野確保および末梢心筋への血流確保を目的に内シャントチューブを使用することがおおいのですが、この内シャントチューブ、あまり今まで深く考えたことはなく、ただ、先輩医師に教えられた通りになんとなく使用していました。
吻合中の血行動態が崩れやすい、前下行枝や右冠動脈(#2~3)の吻合時に主に使用し、対角枝、回旋枝、後下行枝、房室枝などの吻合時には単純に遮断して吻合しています。最近は多くの施設で内シャントチューブは全く使用しない、というところも多いと聞いています。
横須賀市立うわまち病院では、Getinge社のフローコイルという製品を使用しており、全国ではこの製品の使用数が5番以内に入るらいしいのですが、今回、この製品特性を勉強して初めてフローコイルの有用性などを考えるようになりました。
他に内シャントチューブは4社から発売されており、国内では合計5社の製品が使用可能です。流量特性を発表しているのはこのフローコイルとメドトロニック社製のクリアビューという製品です。クリアビューが太い内シャントチューブを使用したときに、フローコイルに比較してより多くの流量を出すのに対して、フローコイルはより細い内シャントチューブを使用した際に、より多くの流量を出すという特性の違いがあります。中間の2.0mmの場合はほぼ両者が同じ流量となります。
日本人の場合は、より細い内シャントチューブしか入らないことが多く、こうした細い症例に対してよりしっかりとした流量が出せるフローコイルのほうが、日本人には適しているといえます。