横須賀うわまち病院心臓血管外科

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MICS-CABGにおける静脈グラフトの腋窩動脈中枢吻合における注意点

2022-11-20 04:05:18 | 心臓病の治療
 MICS-CABGにおいて、静脈グラフトを上行大動脈に吻合が困難、禁忌である症例では、左腋窩動脈への中枢吻合が一つのオプションとして限定した症例で横須賀市立うわまち病院では採用していますが、その際の注意点として

①短期成績はAcceptableとする報告はあるものの、長期成績は確立していないので、高齢者に限定して使用する。
②将来的に閉塞した場合の追加治療として、カテーテル治療が可能かどうか、術前に循環器内科医と相談・検討しておく。
③より長期開存が期待できるNon Touch Techniqueでの採取を行う。
④大腿全長で採取しても確実に到達できるのは回旋枝領域までで、下壁まで到達するには、大腿~下腿(の途中)まで採取する必要がある。
⑤グラフトの中枢吻合は、走行を考慮して可能な限り前方向きではなく、下方向きに吻合する。
⑥中枢吻合部周辺の脂肪組織の除去、小胸筋の切離によりグラフト走行スペースを確保する。
⑦胸腔へ誘導する肋間の筋肉を大きめ(1.5cm以上)に開ける。
⑧肺が膨張した際にも圧排による牽引、屈曲、狭窄が起きないような、大動脈弓部~主肺動脈の左側を通るようなルートを想定して十分な長さを確保する。
⑨Sequential吻合にする場合は、Diamond Shapeの吻合が基本で、吻合順は主肺動脈から近い位置の吻合が先になる。

などである。
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