今は、本当に便利だ。
スマホに、俳句雑誌に掲載されていた、角川春樹の50句のページを丸ごと撮り、電車の中で退屈すると、そのページを開いて読んでいた。
以前は、歳時記を、鞄に入れていた。
スマホは検索すると、歳時記もある。荷物が軽くなって、俳句手帳とペン一本あれば、事が足る。
角川春樹
☆ 返り花いのちといふは淋しけれ
☆ 雨の夜の暖炉に薔薇の香を焚けり
☆ けふ咲きし山茶花けふの空ながれ
☆ ゆく秋や胸に灯せる辞世の句
☆ 栗飯や家族といふは船に似る
☆ にんげんに見えざる檻の寒さかな
50句の中から数句書き出した。
良い句を50句揃えるには、春樹氏といえども、大変なことだったと思われる。というのも、良い句も沢山あるが、、、、、、
素人の方がシビアである。
「俳句」 俳誌の出版社に、おべっかいを使うこともないし、春樹氏におべっかいを使うこともない。正直に鑑賞ができる。ちなみに勉強もできる。
角川出版が「俳句」を出している。、、が、よもや公私混同はしない。
「俳句」や「俳句界」他の総合俳句雑誌に、結社の主宰クラスになると、取り上げてもらはなければならないので、その時の為に衣を着せた言葉で、どなたも褒め殺しのしあいである。ことなかれである。
半面、吾より力のある者はいないと思っている先生と呼ばれている方もいる。
俳句界で繰り広げられれている、論争、罵詈雑言を浴びせている、超有名俳人。これは黙して語らない俳人の方に、援護射撃もあって、軍配が上がっている。
春樹氏にしても、御自分が主宰をしている「河」の座談会である俳人の悪口を堂々と言っていた記憶がある。俳句作品の批判は結構だと思うが、人間性を言っては読んでいるほうが白けてくる。
俳句の末席も末席にいる、俳人とさえ名乗れぬ我々の方が高みの見物ができて面白い。
良い句は詠めないが、鑑賞は、どの先生の句も、素直に読める。平等にである。
やはり、一番は 芭蕉 だと思える。
故山本健吉氏が、春樹氏を称して「芭蕉以来の才能」と言ったそうである。
彼にして、晩節を穢したこの発言。
人生いろいろ 、、、 後が出ない、島倉千代子の歌ではないけれど。
我が家にある、山本健吉全集が、全く色が褪せている。
春樹氏の句で
☆ あかあかとあかあかあかとまんじゅさげ
☆ 見てをりぬいのちしづかに寒牡丹
☆ 向日葵や信長の首切り落とす
何はともあれ、春樹氏のこれらの句は大好きである。
俳句は下手だが口が達者な私のつまらないが一生懸命に作った想い出になる吟行句。
マンホールの蓋に市の花時雨くる
短日のあてなき街の人混みに
木の葉雨片はう無くすイヤリング
声高に手袋落とした人を追ふ
春樹氏の句は新作ではなかった。
私は、新作を揃えたのかと思っていたが、前、前に発表した句が多く、新鮮味に欠けていたようである。忙しい方はこんなものだろうか?期待が外れたのが正直なところである。
しかし、句集ではないのだから。新しい句を発表して欲しかった。