老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

   歳晩の美容院で

2018-12-15 09:23:55 | 俳句

 散歩の途中、

「だだ今待ち時間0分」

なる看板に惹かれて美容院に飛び込む。

散歩の時はいつも夫の持っている小財布をもらい美容院に入った。(財布には 一万円札一枚、千円札一枚、百円玉一個が入っている、これで充分のパーマーしか、かけない)

扉を開けると衝立の向うから男性美容師が顔を出し、

「今日はどうなさいますか?」

「パーマをかけて下さい」

「そこのソフーァにお座りになってお待ち下さい」

誰も座っていない。やったーと思ったのはそこまで。

ここへ来て、散歩の途中に見つけていた美容院だ。別にいつでもよかったのだけれど待つのがいやだから、「待ち時間0分」を見て飛び込んだのだった。

それが、20分ほど待たされて衝立の向う側に行くと、お客は10人以上も鏡の前に座って思い思いに髪を整えている。

それに頭に黒いターバンを巻いて、パーマー液を付けてまっている客が20人はいる。

思わず、鶏小屋を想像した。

 

美容室は殺気だっている。忙しそうだ。汗をかいている。

スタッフは10人いると言う。駆けずっている。

声を掛け合いながら一番さまは、、、五番さまは、、、とお客の所へとんでゆく。

鏡の前に座り、美容師と少し会話をする。

人が足りないから、今治から急遽応援に駆け付けました。

(マンションへ来て、古くなったエアコンを取り替えた。その時の電機工事の職人さんが、今朝は瀬戸大橋を渡って、広島県の福山から工事に来ました、、、と言っていた。世の中は、どうも人手不足らしい)

客の出入りはひっきりなしで、客足は途絶えない。

これだけ客が入れば、商売も面白いなどと思いながら店の観察を、、、

 

     

           家庭画報繰る歳晩の美容室

           ブロイラー小屋やう歳晩の美容院

           加湿器の音のしずかや聖樹の灯

 

 ピンの美容室からキリの美容室まで、お客を退屈させぬように、週刊誌と必ず家庭画報や婦人画報を置いてある。

週刊誌は傷んでいるが、家庭画報の新年号の表紙に折り目を入れたのは自分。

櫂先生の「和の思想」の中で書かれていた、家庭画報や婦人画報に関する(和)の記事がいつものようにページを占めているのを読みながら、一句拾った歳晩の美容院であった。

 

 

 

 

 

コメント
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