納経所に人が途切れたところで話かけた。
「F君ですか?、、、Mです。」
「ええ~ひや~ M君のお母さん~。お元気ですか?もう心臓は大丈夫ですか?眼の方はいかがですか?」、、、と矢継ぎ早に私の体調をたずねてくれる。
「有り難う、、」
それから色々の話題に。
息子とは一年半、合っていない事。今のお寺さんの事情云々、、、
年寄りのご両親を抱え、それなりの苦労があって、息子に一年半も逢っていないと残念そうに言う。
僅か一年半逢っていないことが、不惑も終わろうとしている仲の良い友達間では大事な事か?と面白かった。
仲の良い友達とは知っていたが、私が彼と逢うのは初めて。
我が家の事、彼のお寺の事、二人の間では、どうも筒抜けらしい。息子と一緒になって、私の身体の事も心配をしてくれたらしい。
息子は一度だって、私に哀しい素振りは見せないし、心配をしている事も、しかし友達には、何もかも打ち明けて哀しみや、あれこれを共有していたらしい。
彼から初めて聞いた。私が納経帳に朱印を押してもらい、少しづつ遍路寺巡りをしている事を、体調が良い事を、たいそう喜んでくれた。
< 彼のお寺の本堂の天井画の龍。>
人間世界を下に見て、いいや人間達の苦しみを背負い今にも空へ捨てに行くのか?
本堂の天井に、京都で学んだこの町出身の画家が30年も昔、奉納をした龍の絵。
しばらくぶりに観た。高い山から見る街の景色と同じでちっぽけな自分を想い知らされる。小さなことに一々動じないで、自然体に生きなさいなんて言われたような気がした。
🎑 秋遍路猫のしっぽの話など ( 長崎から来たお遍路さん)
🎑 曼珠沙華の莟みぽつぽつ遍路道
🎑 実むらさき目指すお寺の塔見ゆる