2015=平成27年7月も下旬を迎え、当地愛知も本格夏モードとなって来た。名古屋などは日中、最高気温が35℃を超える日も現れ、年齢性別に関係なく、高温から来る熱中症などの健康被害に備えなければならなくなって来た様だ。晴れたは良いが、油断していると、誰が発症してもおかしくない。外出の折などは、なるべく日陰や地下街を歩く様心がけ、こまめな水分補給をすべく、飲料などを持ち歩くなどの対策も必要だろう。
それと間もなく盆休みの長休を迎えるが、今日の日中は東京都西郊にて、伊豆諸島へ向け離陸中の小型飛行機が住宅地に墜落、乗員や住民など3人の犠牲を生じる遺憾な事故が生じている。詳しくは、警察消防の捜査待ちと言う所だが、常に墜落や不時着の不安を抱える航空機の、住宅地上空の飛行のあり様などを是非一度検討し直して頂きたいものだ。新たな犠牲を増やさない為にも、空路の見直しとかの必要な処置は、躊躇わずに実行される事を心より望む所である。
さて本題。2020=平成32年に催される、東京五輪夏季大会まで丁度後5年となった。先日は、大会仕様の紋章も公開され、開催に向けてのカウント・ダウンも開始された様だ。五輪開会は喜ばしいのだが、会場予定の新国立競技場以下の各施設の建設予算が当初より大幅に上昇し問題化しているのはご存じの通り。文部科学省とその関連部署、五輪大会組織委員会、東京都など、施設関連分野への管理姿勢が厳しく問われる事となっている。この内、大会組織委員長の森 元内閣総理大臣が、なるべく既存の施設や完成済インフラを活用して運営費用を抑えるとの東京五輪当初の開催方針より逸脱、途中より、「国際大会に向けた華美で立派な施設に」の方向へとなし崩し的にシフトしてしまい、遂には安倍現総理大臣に「建設予算は事実上青天井」の様な話をしてしまっていたらしい事も伺った。建築専門家によるデザイン案審査でも、予算的な所は一顧だにされず、一部には「全国民が月に1~2度飲み会を諦めれば捻り出せる金だ。ケチな事を言わすな」などとふざけた言動もあったと言う。為に、当初の新・国立競技場予算は1300億円だった所、建設業者見積もりは一時3000億円を超え、最初の設計変更で減額されるも、結局は2500億円超の見通しとなった由。余りの高額に、国民市民より苦情や批判が多数寄せられ、安倍大臣は建設案を白紙に戻し、近くデザイン審査をやり直して今年内に必要な発注を行うと言う。白紙判断は、まずは尊重したいが・・・。
それにしても、これまでに行われた各国の主会場の建設費用は概ね500億~700億円の間位であり、我国の1300億円は明らかに高過ぎる印象があろう。奇抜な一方で難工事を強いられ、高い建設技術と費用を伴うザハ女史案がどの様な経緯で選ばれたのか、詳細は存じないので言及は控えるが、それにしても、費用増大が見込まれる段階で、建築家レベルだけでなく、文科省や五輪組織委、それに東京都庁でその情報の共有はできなかったのだろうか。「やれやれ、又縦割りの弊害か」の一言で済ます事もできようが、事は決して軽くない。見積額は新・国立競技場でも約2倍、施設によっては10倍を超える高額な例もあるのだ。一部新築が中止された所があるとは言え、全体レベルでは当初見込みより60%位は膨らんでいる様だ。当然かもだが、財務省はこれに早くから気づいていた様で、費用膨張の恐れを安倍大臣に警告されたのは麻生財務相だったとか。
この様になったのは、当初見込みの見通しの甘さと、各方面の所謂「お手盛り利権」が巧みに盛り込まれた結果だろう。それらの事共が、東京五輪の当初の精神から外れ、バブル期の様な、華美で高コストな演出を図ろうと企てた所は、容易に想像できると思うのだが。それと責任態勢が曖昧な事。森組織委員会長はラグビーと縁が深く、東京五輪の前年に予定されるラグビーW杯の新・国立競技場開催にも初めは意欲的だったとされる。同会長の縁故の為に、コスト意識のない新会場建設が進められていたとすれば言語道断だが、白紙化で一応はなくなったと言う所か。ただ、自らの名誉と面子の為に、予算を膨張させた責任は当然あるし、それは文科省など他の関係部署も同様だろう。下山文科相以下、各部門トップにそうした自覚が見られないのが遺憾な所だ。安倍大臣や舛添都知事も何か油断があったのではないか。もう少し、踏み込んで問題を追う姿勢があっても良い様な気がする。
結局、新・国立競技場の白紙見直しで、計画は再出発と相成ったが、今度こそは関係部署の連携を改善し、強い責任感とコスト意識をもって計画と向き合って頂きたいものだ。新会場の費用は、数百億円では難しいにせよ、総額1000億円程度なら可能だと言う。そうであれば「必ずこの金額て収める」決意を持って、強い姿勢で諸事に当たる様お願いしたい。「お手盛り利権」の入り込む余地はない。サッカーW杯や自動車F-1世界選手権などの様に、カネまみれの大会にしてはならない。我々国民市民も、そこの所と費用のコントロールを、特に注意して見守りたいと思う。画像は、昨年暮れに捉えた、当地都心の多目的施設「オアシス21」の夜景です。