ご存じの様に、安倍元総理の国葬が 大過なく取り行われた。改めての弔意と、葬礼に携わられた警備を含む各位の労いの意を表したい。式直前、安倍元総理のご遺骨は 夫人に伴なわれて車上から防衛省を経由の上、式場の日本武道館入りされた由だが、現職時代は安保政策にも注力された事から 故人の強い意思の反映とも受け取れた様に思う。
その三自衛隊中、終戦で悉く断ち切られた印象ある旧軍の各部署部隊の系譜だが、ほぼ唯一とされる部隊が海上自衛隊に存在する事を知ったのはまだ最近の事。同隊の掃海隊群がそれで、大正期に旧海軍で創設されたのが始まりとされ、終戦を跨いでも 旧日米両軍による機雷除去などを担い、又 戦後の朝鮮動乱関連の働きもある様だ。詳しくは末尾の関連記事に譲る所も多いが、以下 海自 HP中より 昨年暮れからご在任の、金刺基幸(かねざし・もとゆき)・掃海隊群司令のメッセージを引用して 少しみて参りたい。
「掃海隊群は 平素、横須賀・船越基地に新設された海上作戦センターに司令部を置き、水陸両用戦及び作戦輸送を任務とする第 1輸送隊、機雷戦を任務とする第 1、第 2、第 3掃海隊、そして 水陸両用戦及び機雷戦の戦術支援等を任務とする水陸両用戦・機雷戦戦術支援隊によって編成されており、『自由で開かれたインド大平洋(地域)』の実現を目指して任務を遂行しております。
我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、掃海隊群も平素から『いざ』というときに即応すべく、また 国民の皆様の安心と安全を守り抜くべく、日夜励んでいるところであります。
今夏行われました 東京オリンピック・パラリンピックにおいて、日本人選手が各々の力を遺憾なく発揮し、多くのメダルを獲得してくれたことにより、新型コロナ・ウィルス感染(症) により落ち込んでいた日本のムードを和らげてくれたことは記憶に新しいところです。
しかし ここで忘れてはならないのは、日本人選手がこれらの活躍をするために、表には出てくることのない 想像を絶する努力を積み重ね、また精神的なプレッシャーに耐えてきたことです。
我々掃海隊群も、これら日本人選手の努力及び精神を心に深く刻み込み、『戦いのプロ』たる日本代表として 国民の皆様の負託に応えられるよう、あらゆる事態に実効的かつ機動的に対応できる準備をしていく所存です。我々掃海隊群隊員一同、国民の皆様が真に頼れる組織として、『全ては国民のために』をモットーに尽力して参りますので、引き続き一層のご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」(引用ここまで)
戦前来の歴史を有する、海自掃海隊群。終戦の旧軍解隊に際しても、進駐米軍の意向もあって掃海部隊はそのまま残され、更に戦後は運輸省、海上保安庁など複数の省庁を経て、暫く後に発足する保安隊➡海上自衛隊所属の変遷を辿るも 高レベルな掃海技術は進駐米軍GHQ にも評価され、我国周辺海域の安保にも貢献しているのだ。
拙者も思う所だが、戦前旧軍の事共といえど 現在でも平和と安全の為に利用価値のある所は、適切な見直しの上で是非活用されれば良いのである。ともすれば「戦前の事共はダメ。戦後の事共のみ OK」との左派的思潮に流れがちだったろうが、いつまでもその様な姿勢ではダメで、ここは必要な所は 是非戦前の事共といえど再評価の上 活用すべきという事だ。その意味で、海自掃海隊群のあり方は 戦前旧海軍以来の伝統を引き継いだ上で進化してきた 1つの理想形であり、我国の宝の一つと呼んで良い様に思う。
その事との健全で真摯な向き合いは、故人となられた安倍元総理の遺志にも叶う事ではないかと心得る。同氏が変革を志した「戦後レジームからの脱却」は、あり様こそ違え 我々残された者達も強い姿勢で心がけ、取り組むべきテーマとの理解をする所だ。OBをも含めた一部隊員による芳しからぬ事象も生じてはいるが、そうした問題への適切な対応を行った上で、今後も果敢な活動を祈念したい。今回画像も振り返りで恐縮。少し前 当地東郊の愛知・静岡県境近くの浜名湖畔を西日本方面へと下る、東海道・山陽新幹線試験列車「ドクター・イエロー」の英姿を。以下に 関連記事を 2件リンク致します。➀「乗りものニュース 9/20付」海上自衛隊で最も“実戦経験”アリ「掃海部隊」の凄み 米軍も一目置く旧海軍唯一の生き残り | 乗りものニュース (trafficnews.jp) ➁「海自掃海隊群 HP」掃海隊群ホームページ | 海上自衛隊 掃海隊群のホームページです。 (mod.go.jp)